研究課題/領域番号 |
17K07038
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
村上 高広 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (70335107)
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研究分担者 |
安田 肇 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (20358203)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | タール / ガスクロマトグラフ質量分析 / 電界脱離質量分析 / 流動層 / ガス化 / 褐炭 |
研究実績の概要 |
本研究では、石炭等のガス化で副生するタール成分の全体像を明らかにすることを目的とする。方法として、ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)および電界脱離質量分析(FD-MS)の分析手法を組合せ、これらを総合的に解析することにより、従来行われていた分子量300程度までの低分子側のタールに加え、これまで見落としていた分子量300以上の中・高分子側までのタール全成分を詳細に明らかにする。 実験室規模の流動層ガス化炉を用いて、熱分解条件(水蒸気供給なし)に加え、化学量論的水蒸気ガス化条件から供給水蒸気量を昨年度実施した1.5倍から2倍および3倍と増加させた広範な条件において、実用的な温度である1123Kにて褐炭をガス化させ、合成ガス中のタール成分について、本研究で提案したGC/MSおよびFD-MSを組合せた解析法により検討した。結果として、供給水蒸気量が増加するほど改質効果によりガス収率は増加し、タール濃度は減少することが分かった。タールの主成分については、広範に実施したガス化条件全てにおいて置換基を持たない多環芳香族炭化水素(PAHs)からなり、分子量の範囲においても差異は生じなかった。以上より、本研究で実施した条件において、ガス化炉後段に触媒を利用したタール改質塔を設置してタールを改質させる場合、水蒸気量が変化するとタール濃度に変化は生じてもタールの主成分に差異はないことから、運転中のトラブル等で供給水蒸気量に変化が生じた場合、触媒の種類よりも供給量を調整することで対応できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
熱分解条件に加え、化学量論的水蒸気ガス化条件から供給水蒸気量を3倍まで増加させた広範な条件において、流動層ガス化炉により1123Kで褐炭をガス化させ、本研究で提案したGC/MSおよびFD-MSの組合せによる解析法において、タール成分のガス化剤による影響について明らかにできたことから、当初計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、広範なガス化条件において褐炭をガス化させ、ガス化剤によるタール成分の影響について明らかにした。今後は当初計画に基づき、広範な温度条件において褐炭のガス化実験を実施し、本研究で提案した解析法によりタール成分の温度の影響について明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
流動層ガス化炉における石英ガラス製の反応管を新規に製作したが、納品時輸送中の破損により納期が大幅に遅れたため、当初計画していたタール分析検体数を減少することになった。本年度は複数のタール分析を実施する。さらに、学会での成果発表を複数回計画している。
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