研究課題/領域番号 |
17K07049
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
山崎 匡 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (40392162)
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研究分担者 |
五十嵐 潤 国立研究開発法人理化学研究所, 情報システム本部, 上級研究員 (60452827)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 小脳 / 数値シミュレーション / マルチコンパートメントモデル / 並列計算 / GPU |
研究実績の概要 |
ニューロンの具体的な空間形状が脳神経回路の情報処理機構にどのような影響を及ぼすのかを考察するために、特徴的な形状を持つニューロンが多数存在する小脳を対象として、その神経回路モデルを構築した。顆粒細胞・ゴルジ細胞・プルキンエ細胞のマルチコンパートメントモデルを実装し、さらに予備的な成果としてそのネットワークまでをも構築した。このモデルの元で、顆粒細胞とゴルジ細胞からなるネットワークにより、実験的にも観測されている神経活動のオシレーションが再現された。また、プルキンエ細胞に同期した強い平行線維刺激が入力することにより、プルキンエ細胞の発火自体も周期的になった。マルチコンパートメントモデルの数値シミュレーションは点モデルと異なる数値解法が複雑になり、計算時間が莫大になるため、グラフィクスプロセッシングユニット(GPU) を利用した並列計算によるシミュレーションの高速化を行った。数値解法には陰的オイラー法を採用し、連立方程式は共役勾配法 (CG法) で解いた。チャネルコンダクタンスの計算とCG法の計算を並列実装した。疎行列の格納方法についても検討した。最終年度は、空間形状が重要な役割を持つ機能として、プルキンエ細胞による平行線維刺激のシーケンス弁別を検討した。プルキンエ細胞の巨大な樹上突起上の異なる場所を複数刺激したとき、刺激の順番に応じて選択的に発火を引き起こすことができることを数値シミュレーションで確認した。さらに、解剖学的に妥当なネットワークを構築するための準備として、細胞の3次元的な空間配置を設定するScaffolding modelのGPU実装を行い、実時間での数値シミュレーションを達成した。
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