研究課題/領域番号 |
17K07055
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
姜 英男 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい教授 (50177755)
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研究分担者 |
齋藤 充 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (50347770)
八十島 安伸 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00273566)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 島皮質 / 味覚野 / 胃腸関連領野 / 錐体細胞 / 味覚嫌悪学習 / 扁桃核 |
研究実績の概要 |
GPR119 KO マウスを用いて、島皮質味覚野と胃腸関連領野間のシータリズム及びデルタリズムの周期的同期化現象の受容体機構及びそれによる機能的連関を明らかにすることを目指したが、GPR119 KO マウスに特異的に発生する肝炎のため、実験遂行が困難を極め、本実験計画を変更することを決断した。そこで、本年度は、味覚嫌悪学習に伴う、島皮質味覚野と胃腸領域間の機能的連関を明らかにすることを目的とし、まず、島皮質と扁桃核間の相互関係を明らかにする研究を行った。その結果、味覚野島皮質では第5層錐体細胞が扁桃核に投射するが、島皮質胃腸関連領野では第2/3層錐体細胞が扁桃核に投射することがイスラエル・ハイファ大学(Kobi Rosenblum 教授)との共同研究により明らかになった。島皮質胃腸関連領野の第2/3層錐体細胞は皮質-皮質ニューロンであることから、扁桃核のみならず島皮質味覚野にも投射することが考えられ、味覚認知の異変を来す味覚嫌悪学習において重要な役割を果たすことが想定された。さらに、味覚野第5層錐体細胞は、脱分極通電により引き起こされるスパイク列の発火頻度が味覚嫌悪学習に伴い低下することが明らかになった。この発火抑制はスパイク後過分極の変化を伴わず、GABAA受容体の拮抗薬により阻害されることから、GABAA受容体を介する自己抑制作用によるものと考えられた。こうした所見は、島皮質味覚野と胃腸関連領野間の機能連関の存在を強く示唆するが、GABA作動性介在ニューロンの働きが味覚嫌悪学習に伴い強化された結果、島皮質味覚野と胃腸関連領野間のシータリズムの周期的同期化現象がデルタリズムに低下する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
GPR119 KO マウスを用いた実験が肝炎のため予定通り遂行できなかったため、実験計画を変更し、本年度後半から味覚嫌悪学習に伴う島皮質味覚野と胃腸関連領野間の周期的同期化を解明する実験を開始したため、少し遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
味覚嫌悪学習に伴う、島皮質味覚野と胃腸関連領野間の機能的連関を明らかにするという方向に研究目的を変更した。組織学的手法、電気生理学的手法・分子生物学的手法等を用いて、味覚野、胃腸関連領野の錐体細胞と扁桃核細胞等からin-vitroおよびin-vivo 標本を用いて記録を行い、島皮質味覚野と胃腸関連領野間の機能連関を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
GPR119 KO マウスの実験を中止したため、実験に必要とされた消耗品等の購入も中止しため次年度使用額が生じた。次年度の使用計画としては、共同研究のための旅費及びin-vitroおよびin-vivo実験消耗品に充てる。
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