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2018 年度 実施状況報告書

光遺伝学的神経活動攪乱によるサル前頭葉-側頭葉間記憶ネットワークの解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K07062
研究機関高知工科大学

研究代表者

竹田 真己  高知工科大学, 総合研究所, 特任教授 (00418659)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード電気生理学 / 長期記憶 / 脳神経回路
研究実績の概要

記憶の情報処理メカニズムに関して、皮質層レベルの情報処理から記憶関連領域間の情報処理まで複数の空間スケールにおける情報処理に注目して引き続き研究を進め、論文発表を行った。
我々は、目にしたものをもとに関連したものを思い出すことができる。こうした心のはたらきを支える脳内神経回路として、大脳の側頭葉が重要な役割を果たしていると考えられてきた。しかし、側頭葉ニューロン群が「ものを見た」知覚情報から記憶を想起する際にどのように協調して働くのか、その動作原理は明らかではなかった。そこで、視覚性記憶課題を学習したサルを用いて、「ものを見て、ものを思い出す」際の側頭葉神経回路のはたらきについて調べた。サルに対になった視覚図形を学習させ、ある図形を見たときに対の図形を思い出すように訓練し、課題遂行中に側頭葉の36野とTE野とよばれる二領域の神経活動を同時計測した。その結果、想起する図形そのものを表象している36野ニューロンの神経活動は、図形を見たときにはTE野の浅層とよばれる皮質層と協調的に働く一方、対となる図形を思い出す際にはTE野の深層とよばれる別の皮質層と協調的に働くことが明らかとなった。さらにこれらの領野間伝達信号が、TE野内の皮質層間をどのように伝達するかを明らかにした。本研究により、視覚知覚・記憶想起という異なる認知プロセスに依存して、側頭葉記憶神経回路は皮質層レベルで異なるダイナミクスを示すことが明らかとなった(Takeda et al, 2018, Nature Communications)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、脳領域間と皮質層間を接続する記憶神経回路が認知プロセスに依存して異なるふるまいを示すことを論文発表した。現在、この研究成果をもとに、記憶神経回路の動作原理に関する総説をまとめている。

今後の研究の推進方策

メゾスコピックスケールの記憶神経回路の動作原理についての研究成果をまとめることができたので、fMRIなどの脳機能イメージング法を用いたマクロスコピックスケールの記憶神経回路の動作原理に迫る研究を推進中である。

次年度使用額が生じた理由

本務先が変更になり、当初の直接経費の使用時期に変更が生じたため。本年度に当初計画していた直接経費使用を実施する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Dynamic laminar rerouting of inter-areal mnemonic signal by cognitive operations in primate temporal cortex2018

    • 著者名/発表者名
      Takeda, M., Hirabayashi, T., Adachi, Y., and Miyashita, Y.
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 9 ページ: 4629

    • DOI

      10.1038/s41467-018-07007-1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 視覚記憶のマルチスケール神経回路2019

    • 著者名/発表者名
      竹田 真己
    • 学会等名
      電子情報通信学会ヒューマン情報処理研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 霊長類における脳内視覚記憶システムの多階層性にせまる2018

    • 著者名/発表者名
      竹田 真己
    • 学会等名
      社会神経科学共同研究拠点研究会「世界や社会と相互作用して生きるヒトや動物の視覚-生理学、心理物理学、計算論」
    • 招待講演
  • [備考] 「ものを見て、関連するものを思い出す」記憶のメカニズムを世界で初めて発見

    • URL

      https://www.kochi-tech.ac.jp/news/2018/004154.html

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公開日: 2019-12-27  

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