研究課題/領域番号 |
17K07076
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡 雄一郎 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 講師 (30614432)
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研究分担者 |
佐藤 真 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 教授 (10222019)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | plexin / 神経回路形成 / 皮質内回路 / 組織透明化 / イメージング / sparse labeling / Kv channel / サブプレート |
研究実績の概要 |
本研究は大脳皮質の異なる領野間を重層的に結ぶ神経回路の形成機構を明らかにすることを目的とする。我々はこれまでに、2/3層及び5a層に存在し、同側の領野間を結ぶ連合性回路と対側への結合である交連性回路の両方を持つdual-projection(DP)ニューロンがPlxnd1を発現していることを見出し、そのプロモータを用いたDPニューロン標識系を開発していた。平成29年度に行った2/3層のDPニューロンに続き、平成30年度は5a層のPlxnd1発現DPニューロンの解析を開始した。2/3層のニューロンよりも2日程度早期に産生される5a層のニューロンはE13.5にin utero electroporation行って標識した。大脳皮質をflat-mountにした後、抗GFP抗体と抗Vglut2抗体を用いて独自に開発した改変型iDISCO法により免疫染色および組織透明化を行い、共焦点顕微鏡でイメージングを行った。その結果、5a層のPlxnd1発現DPニューロンによる領野間回路形成は2/3層よりも2日程度早期に形成されていること、投射領域近傍で枝分かれして特定の2つの領域に投射することがわかってきた。従前のモデルでは、皮質内の領野間回路の形成はランダムに軸索側枝を投射して適切なターゲットと接続できなかったものが除去されると考えられていたが、今回得られた結果はそのモデルとは異なるメカニズムが存在する可能性を示唆しているので、現在はその検証を進めている。 また、重層的な領野間回路を形成するもう一つの層である6b層について、その領野間回路を構成するニューロンに発現するKcnab1遺伝子に関して発現動態と発現細胞の性質の解析を行い論文にまとめた(Tiong et al., Front. Neuroanatomy 2019, in press)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Plxnd1プロモータを利用した大脳皮質ニューロン標識系により、2/3層に加えて5a層のDPニューロンによる領野間回路の形成過程が明らかにできつつあり、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2/3層、5a層、6b層の領野間回路が相互にどのような関係にあるのか、1個体で複数の層からの回路を標識して解析する。さらに、回路形成の分子機構について、Plxnd1発現DPニューロン特異的なノックアウト実験を行ってPlxnd1-Sema3eシグナルの回路形成への関与を解析する。
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