研究課題
本研究は、大脳皮質の異なる領野間を重層的に結ぶ神経回路の形成機構を明らかにすることを目的とする。我々は、2/3層及び5a層に存在し、同側の領野間を結ぶ連合性回路と対側への結合である交連性回路の両方を持つdual-projection(DP)ニューロンに発現するPlxnd1遺伝子のプロモータを用いたDPニューロン標識系を開発して回路形成過程観察し、連合性回路が先行してできる交連性軸索から出芽する軸索側枝であること、同時期に出芽する軸索側枝の中で長距離の連合性の投射が局所回路を作る他の軸索側枝と比べて速い速度で伸長することを明らかにしていた。平成31(令和元)年度は、この過程にPlxnd1分子自身が関与する可能性について、遺伝子ノックアウト実験を行い検証した。Plxnd1に対するgRNAを3種類設計し、Cas9発現ベクターとともに子宮内電気穿孔法(胎生15日目)で2/3層のニューロンに導入し、生後5日目において標識されたニューロンの軸索の様子を観察した。標識細胞の分布や軸索側枝の伸長について、コントロールと比較して顕著な影響は見られなかった。最近、Plxnd1およびそのリガンドのSema3eのノックアウトマウスでは、2/3層のニューロンの交連性の投射に、異所性に投射する分枝が生じるという表現型が報告されており(Velona et al., Mol. Cell Neurosci., 2019)、本研究の結果と整合しない。非細胞自律的な効果が関係する可能性もあり、さらなる検討が必要である。
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Sci Rep
巻: 9 ページ: 4305
10.1038/s41598-019-40838-6
Front Neuroanat
巻: 13 ページ: 39
10.3389/fnana.2019.00039
http://www.anat2.med.osaka-u.ac.jp/