ナイニンは非神経細胞において中心体に局在する微小管アンカータンパクである。神経細胞では選択的スプライシングにより中心体結合能を失った Nin neuron が細胞質に発現している。それによって神経細胞においては中心体が微小管をアンカーしておらず、微小管はランダムな極性を持って存在している。細胞質に局在を移したナイニン( Nin neuron )がどのような機能を持っているかはわかっていない。 2017 年に invitro の実験によってナイニンがダイニン ダイナクチン複合体を作ることが報告された。これは、もしナイニンが 細胞質に局在すればダイニンのアダプタータンパクとして機能することを示唆している。
そこで我々は細胞質に存在する Nin neuron がダイニンアダプターとして機能する可能性を検証するために、非神経細胞に Nin neuron を強制発現し、同じくダイニン ダイナクチン複合体を作るdynamitinを強制発現した際の現象と比較した。Nin-neuronは細胞質においてダイニンと相互作用を持つことが明らかになった。ニューロンの樹状突起ではマイナス端を遠位に向けた微小管が存在し、樹状突起の先端へタンパク質を輸送するにはダイニンの働きが必要である。神経細胞に特有のナイニンであるnin neuronはダイニンアダプターとして機能し、樹状突起先端への物質輸送に働いていると考えられる。
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