研究課題/領域番号 |
17K07084
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
大平 耕司 武庫川女子大学, 生活環境学部, 准教授 (80402832)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 大脳皮質 / 神経前駆細胞 / 死後脳 / 脳疾患 |
研究実績の概要 |
本研究は、組織学的手法を用いて、ヒトの大脳新皮質に新しい神経細胞を産生することのできる神経前駆細胞であるL1-INP細胞が存在するのかどうか明らかにする。さらに、L1-INP細胞の存在を確認できたならば、精神疾患患者の死後脳を用いて、L1-INP細胞数と精神疾患との相関関係について調べることを目的としている。 これまでに、げっ歯類のマウスとラット、霊長類であるマーモセットとアカゲザルの健康な成熟個体において、大脳新皮質にL1-INP細胞が存在していることを見出している。 本年度は、東京都健康長寿医療センターのブレインバンクと連携し、ヒト脳サンプルの準備を進めた。武庫川女子大学の倫理委員会の認証を得、現在ブレインバンクの倫理委員会の認証を待っている段階である。 その間に、L1-INP細胞の抗体を確認するとともに、その由来をマウスを用いて解析を行った。その結果、発生期のMGEから、ドーパミンの刺激により、分化と移動が促進されることがわかった。成体においても、L1-INP細胞の分化や移動にドーパミンが関係している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトの脳サンプルについて準備を行なっている。 また、L1-INP細胞の由来についてマウスモデルを解析したところ、ドーパミンによって分化と移動が促進されることを見出した。これまでドーパミンは単なる神経伝達物質ではないことは各種の実験によって示唆されていたが、本研究によって直接的な証拠が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ヒトの脳サンプルを入手出来次第、免疫染色を行い、L1-INP細胞の存在の有無について明らかにしていく。その存在が確認できたならば、精神神経疾患患者の死後脳サンプルについて、同様の実験を行なっていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はヒト脳サンプルの購入をする予定であったが、健常者の脳が入手できないこととなり、急遽、日本のブレインバンクに連絡を取り、脳サンプルの供与を受ける予定となった。現在は、ブレインバンクの倫理委員会の結果を待っている段階である。そのため、使用額に変化が生じた。 次年度は、脳組織の染色のために、各種の抗体を購入する予定である。
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