• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

多発性硬化症における異常構造をもつMBP蛋白質の発現と小胞体ストレス応答

研究課題

研究課題/領域番号 17K07087
研究機関秋田大学

研究代表者

板東 良雄  秋田大学, 医学系研究科, 教授 (20344575)

研究分担者 吉田 成孝  旭川医科大学, 医学部, 教授 (20230740)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードオリゴデンドロサイト / ERストレス / MBP
研究実績の概要

多発性硬化症(MS)は炎症細胞の浸潤とともに髄鞘が傷害され、再発により症状が増悪する。しかしながら、根治療法の糸口が見えていない。我々は髄鞘構成タンパクであるMBPの構造異常の変化が本疾患の再発に関与している可能性を見出している。本研究ではマウスMSモデルならびに培養細胞を用いてMBPの構造変化に伴う髄鞘の異常形成機構の解明とその制御法の開発を目指している。
平成30年度は平成29年度に引き続き、研究計画に沿って研究を遂行した。研究代表者が平成30年4月に異動となり、研究遂行の遅れを当初心配したが、概ね計画の通りに遂行できている。平成30年度は小胞体ストレス(ERストレス)によって誘導される21kDa MBPの発現誘導に関与する細胞内シグナル伝達の解析を主に行った。我々が独自に樹立したES細胞由来のオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)は甲状腺ホルモンであるT3を添加することによってオリゴデンドロサイト(OL)に分化する。そこで、このOLに小胞体ストレス誘導座いであるtunicamycinを添加すると、OLが異常に肥大することを見出し、MBPの発現誘導に強く関与するfynのリン酸化によって21kD MBPが誘導されることを明らかにした。また、小胞体分子シャペロンGRP78/Bip選択的誘導剤であるBIXを投与するとMBPの変性が抑制されることを明らかにした。また、細胞の肥大化も抑制された。
以上のことから、21kDa MBPはERストレスによって構造異常が惹起され、MBPの機能異常によってオリゴデンドロサイトの異常な髄鞘形成が惹起されている可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画に沿って研究は進んでおり、得られた結果も想定範囲内のものであり、計画を大幅に変更することなく、予定通りに研究を実施できている。

今後の研究の推進方策

令和元年度はこれまでに得られた結果を元に実際にin vivoの病態モデルで検討する。いくつか想定される技術的な課題はあるが、進行が遅れないよう、十分準備しながら進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究代表者が平成30年4月1日付で旭川医科大学から秋田大学への異動があり、研究室のセットアップ等に少し時間を要した。また異動に伴い、機器を新たに購入する必要性が考えられ、平成29年度からの繰り越し金もあった。実際、平成29年度に予定していたin vitroの実験に用いる機器や抗体等の試薬の購入を行った。一方、令和元年度に実験を計画しているin vivoでの実験に使用する機器・試薬・消耗品等は今後購入する必要があり、令和元年度の予算では不足する可能性が見込まれるため、次年度使用額とした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Pathological changes in mice with long term cuprizone administration.2019

    • 著者名/発表者名
      Nomura T, Bando Y, Nakazawa H, Kanemoto S, Yoshida S.
    • 雑誌名

      Neurochem Int.

      巻: 126 ページ: 229-238

    • DOI

      10.1016/j.neuint.2019.03.018.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Kallikrein 6 secreted by oligodendrocytes regulates the progression of experimental autoimmune encephalomyelitis.2018

    • 著者名/発表者名
      Bando Y, Hagiwara Y, Suzuki Y, Yoshida K, Aburakawa Y, Kimura T, Murakami C, Ono M, Tanaka T, Jiang YP, Mitrovi B, Bochimoto H, Yahara O, Yoshida S.
    • 雑誌名

      Glia

      巻: 66(2) ページ: 359-378

    • DOI

      10.1002/glia.23249

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Alterations of Both Dendrite Morphology and Weaker Electrical Responsiveness in the Cortex of Hip Area Occur Before Rearrangement of the Motor Map in Neonatal White Matter Injury Model.2018

    • 著者名/発表者名
      Ueda Y, Bando Y, Misumi S, Ogawa S, Ishida A, Jung CG, Shimizu T, Hida H.
    • 雑誌名

      Front Neurol.

      巻: 9 ページ: 443

    • DOI

      10.3389/fneur.2018.00443.

    • 査読あり
  • [学会発表] MP101およびMP201は多発性硬化症モデルにおける脱髄と軸索変性を抑制する2019

    • 著者名/発表者名
      板東良雄
    • 学会等名
      日本解剖学会
  • [学会発表] 脱髄と軸索変性の病態解析2019

    • 著者名/発表者名
      板東良雄
    • 学会等名
      グリアクラブ
  • [学会発表] オリゴデンドロサイトにおける小胞体ストレス応答2018

    • 著者名/発表者名
      板東良雄、吉田成孝
    • 学会等名
      日本解剖学会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi