研究課題
Collagen XXは骨格筋の神経支配に必須であり、神経筋接合部の形成が生じる時期をピークに骨格筋で発現する。Col25a1は胎児横隔膜の筋管中央部の神経接合部形成領域を中心に強く発現していた。また、collagen XXVの結合蛋白質RPTPσ/δも、同時期の脊髄運動ニューロンに発現をすることを示した。さらにCol25a1の発現は初代培養筋管の興奮に伴い低下し、抑制により上昇したことから、神経支配に依存して発現が制御されている可能性が示された。COL25A1遺伝子の変異により発症する先天性の脳神経支配異常(CCDD)のメカニズム解明のため、骨格筋特異的Co25a1欠損マウスの胎児を解析した結果、運動性脳神経核の顕著な減少、外眼筋などの顔面筋において軸索投射を欠くポストシナプスが認められ、骨格筋のcollagen XXVが脳神経の発達にも重要であることが示された。またCCDDの変異の効果について、collagen XXVの有する軸索誘因作用を顕著に阻害することを示した。本研究をとおし、collagen XXVがアルツハイマー病の病因蛋白質であるAβに結合し、アミロイド蓄積の成熟化に影響をおよぼすことでAβの脳内動態を制御しうる因子であることを示した。一方、神経筋発生における機能解析では、受容体であるRPTPσ/δとの結合様式を明らかにし、それにより運動ニューロン軸索を誘引することを示した。さらにCCDDの病態機序として、筋由来のcollagen XXVは脳神経の発達にも必須の役割を果たし、CCDD変異はcollagen XXVとRPTPσ/δとの結合、ひいては軸索との相互作用を阻害することで、運動性脳神経の神経支配に異常を来たす可能性を明らかにした。
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Cell Reports
巻: 29 ページ: 4362~4376.e6
10.1016/j.celrep.2019.11.112