孤発性プリオン病や遺伝性プリオン病の剖検脳・全身臓器において、組織学的な検索に併せて、凍結サンプルよりwesterb blotを施行し検討した。組織学的には、ホルマリン固定後に感染性を失活させるためにギ酸処理を施行し、HE染色に加えて抗プリオン蛋白抗体を用いた免疫組織化学的な検討を加えた。孤発性プリオン病や遺伝性プリオン病において、中枢神経系にはシナプス型のプリオン蛋白やプリオン蛋白プラークなどをみとめた。一部のプリオン病症例においては、末梢神経や骨格筋、内分泌器官などにおいても異常プリオン蛋白の蓄積がみられた。我々の施設では、脳だけでなく全身臓器も可能な範囲で凍結サンプルを採取している。Homogenate作製においては、SDSを加えた溶液緩衝液中で最終的に10%になるように調整した。その後にビーズ破砕法を施行し遠心分離をしHomogenateを作製した。脳の凍結サンプルでは、検討した全ての症例でPK抵抗性の異常プリオン蛋白がみとめられた。全身臓器に関しては、一部の臓器においてwestern blotでPK抵抗性プリオン蛋白が同定された。 その他のプリオン病における検討として、一卵性のゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病(GSS)の姉妹例の病理学的検討を施行した。一卵性でありながら発症に17年の差が認められており、病理学的にもCase 1ではα-synucleinopathyがみられ、Case 2にはアルツハイマー病病理がみられるという違いを示していた。Epigeneticな因子の関与を示唆する重要な病理学的な所見であり、Journal of Neuropathology & Experimental NeurologyにOriginal articleとして採用された。
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