研究課題
細胞機能を恒常的に維持するために様々な分子の発現を制御する内在的マイクロRNA(miRNA)が近年同定されている。我々が関心を持つ中枢神経脱髄疾患である多発性硬化症(MS)は免疫異常により中枢神経に炎症が生じることが病態の中心と考えられてきたが、近年髄鞘ミエリン産生細胞であるオリゴデンドロサイト(OLG)を障害する変性疾患の特徴を有することも次第に明らかになってきている。そこでMSの病態機序を変性疾患と捉えその病態に関与するOLGにおいて変化しうるmiRNAの同定並びにその機能をin vitroないしin vivoの系で明らかにし治療戦略に供することを目的として申請したものである。このためにマウス初代培養によるOLG前駆細胞(OPC)からOLG細胞へ分化させる系を用いる。分化前のOPC, 分化条件で培養中のOPC, 成熟したOLGを回収してtotal RNAを取り出してmiRNA array解析でコントロール条件の結果と比較することで網羅的に発現が上昇ないし低下したmiRNA候補を探索することを計画していた。マウス胎仔脳からOLG前駆細胞を取り出す手順については概ね確立したが、有意差のあるmiRNAの発現の比較が困難であった。そこで計画を変更し初代培養や細胞株を用いて、SIRT1ならびにSIRT2をノックダウンすると前駆細胞からの分化が明らかに促進することがわかった。SIRTファミリーによって変化するOLG特異的な細胞骨格タンパク質βIV-tubulinとTubulin polymerization promoting protein (TPPP)の発現がSIRT1とSIRT2のノックダウンによって発現が上昇した。SIRT2はOLGの分化を抑制されることが示唆されているが、SIRT1にもほぼ同等の分化抑制効果があることが明らかにすることができた。現在論文作成中である。
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