研究課題/領域番号 |
17K07102
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
三好 悟一 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (20519326)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 疾患モデルマウス / 自閉症 / 興奮抑制バランス |
研究実績の概要 |
自閉症スペクトラム障害に共通して認められる「中間表現型」に着目することで、疾患モデルマウスの作製に挑戦し発症に至る回路機構の解明を目指す。多種多様な症状がみられる自閉症に至るまでの共通の経路として、GABAニューロンの機能不全と転写因子FoxG1「量」の異常が2015年に提示された。多種多様な自閉症患者から調製されたiPS細胞を培養皿上で神経分化させるアッセイにおいて、興奮性細胞には特に変化がみられない一方、GABAニューロンの分化亢進とFoxG1因子「量」の異常が一様に観察された。実際、ヒトではFoxG1「量」による制御が重要であり遺伝子変異による増加(遺伝子座の重複)および減少(点変異)によりひきおこされる神経発達症は「FoxG1症候群」として自閉症スペクトラムに分類され、治療に向けた活動のために「国際FoxG1基金」が2012年に米国で創設されている。 そこで、大脳GABAニューロンだけでFoxG1量を「増加および減少」操作する遺伝学的手法を新たに開発し、自閉症スペクトラムに共通の「中間表現型」をモデルしたマウスを作製する。これまでのところ、個体行動実験としてオープンフィールド、高架式十時迷路、3チャンバー社会性アッセイ、8方向迷路作業記憶解析を実施している。またEEGによる脳波活動解析、脳スライスを用いた興奮抑制バランスの解析も実施している。興奮と抑制による回路発症機構を理解し、自閉症モデルマウスの樹立に挑戦する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳スライスホールセルパッチ法を用いて、第二層のピラミダル細胞におけるmEPSC、mIPSCを解析することにより、生後発達期の興奮抑制バランスが重要であることを示唆するデータを得ている。生後の様々な時期にFoxG1操作したマウスの解析から、病態が現れるための重要な時期を同定しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
現在の解析方法で仮説を検証することは可能であると考えている。その一方、記録した個体数およびデータがまだ不足しているので、今後も解析を進めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
RNA配列解析法を計画していたが、十分な量のマウスコロニーの準備には時間がかかり、年度をまたぐこととなった。とはいえ概ね順調に研究計画は進捗している。
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