研究課題
基盤研究(C)
当研究室で同定したRICSは、興奮性シナプスのシナプス後肥厚に局在してグルタミン酸受容体およびPSD-95と複合体を形成し、Cdc42GAPとしてCdc42下流のシグナル伝達系を制御する。その伝達系の候補としてCdc42→PAK→LIMK→Cofilin経路を予想し、その解析を実施した。解析結果を総合すると、グルタミン酸の興奮性刺激により、グルタミン酸受容体→CaMKII→RICS→Cdc42から、PAKを経てCofilinに至る経路が予想通り動くことが明らかとなった。
神経科学
高次脳機能の重要な細胞基盤として、グルタミン酸の興奮性刺激に依存したスパイン形態やシナプス伝達効率の制御が考えられている。Cofilinはスパイン骨格を構成するアクチン線維の動態を調節するタンパク質なので、上記のシグナル伝達経路によるアクチン動態の調節が、スパイン形態やシナプス伝達効率の制御に関与している可能性が示唆された。