研究課題
神経修飾因子アデノシンに対するバイオセンサーを開発し、精神神経疾患モデル動物由来の脳スライスにおけるアデノシン放出について研究を進めている。これまでに、コカイン中毒に伴ううつ様症状について検討を行い、線条体におけるAQP4依存的なアデノシン放出の増加と、これに関連したドーパミン放出の減少、および前頭前野内側におけるAQP4依存的なアデノシンA1受容体の機能低下を見出している。また、同様の解析を脳傷害後の損傷周辺部位についても行い、炎症や興奮毒性といった2次傷害や組織再生といった回復過程におけるアデノシンの動態を検討した。その結果、独自に開発した閉鎖性頭部外傷モデル「光傷害マウス」の傷害4日後ではアデノシンの減少による神経活動の亢進が見られ、これが7日目までに正常化することが明らかとなった。このことは傷害急性期から亜急性期にかけて、アストロサイトに由来する組織中のアデノシンが一時的に減少し、これが神経細胞の過剰な興奮による細胞傷害につながることを示唆している。本年度はこれらの成果を論文としてまとめ、投稿しているが、まだ受理に至っていない。近年開発が進んでいるアデノシンやドーパミンに対する蛍光タンパク質をバイオセンサーと併用した追加実験が求められているが、現在のところ測定に成功していない。
4: 遅れている
新型コロナウイルスにより研究が十分行えない時期があったため、研究が遅れている。
これまでに集積したデータを論文として発表することを目指す。
論文投稿に関連する追加実験が予想されるため。
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