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2023 年度 実績報告書

アデノシンセンサー細胞を利用した神経・精神疾患モデルの解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K07110
研究機関神戸大学

研究代表者

森田 光洋  神戸大学, 理学研究科, 准教授 (50297602)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2024-03-31
キーワードアデノシン / ドーパミン / 双極性障害 / 脳傷害
研究実績の概要

アデノシンは中枢神経系における主要な神経修飾因子であり、シナプス前抑制やシナプス可塑性に関与する。また、中枢神経系以外においてはアデノシンの血管拡張作用や抗炎症作用が知られている。我々はアデノシンに対するバイオセンサーを開発し海馬スライスにおけるアデノシン放出がL型カルシウムチャンネルに依存した神経細胞の経路と、水チャネルAQP4に依存したアストロサイトの経路によることを明らかにした。本研究ではAQP4依存経路についてコカイン投与に伴うドーパミン神経伝達の変調、および脳損傷周辺の興奮性に関して検討を行った。コカインに関しては急性期の覚醒作用と禁断症状として発現するうつ様行動がAQP4欠損マウスにおいて消失することが明らかとなった。さらに線条体スライスにおけるアデノシンまたはドーパミン放出を測定したところ、コカインの禁断症状はAQP4依存的なアデノシン放出の増加と、これに伴うドーパミン放出の減少を引き起こすことが明らかとなった。さらに、前頭前野内側について同じ検討を行ったところ、AQP4依存的な何らかのプロセスにより、アデノシンによるドーパミン放出の調節がコカインにより不全に陥ることが明らかとなった。一方、脳損傷に関しては、独自に開発した閉鎖性頭部外傷モデル「光傷害マウス」の損傷周辺において、損傷 4日で神経活動の亢進が見られ、これがAQP4依存性アデノシン放出の減少に起因していることが明らかとなった。これらの結果はAQP4依存的アデノシン放出の変調が精神、神経疾患の背景にあることを初めて示したものである。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Incomplete accumulation of perilesional reactive astrocytes exacerbates wound healing after closed-head injury by increasing inflammation and BBB disruption2024

    • 著者名/発表者名
      Sawant Nitin、Watanabe Airi、Ueda Haruna、Okano Hideyuki、Morita Mitsuhiro
    • 雑誌名

      Experimental Neurology

      巻: 374 ページ: 114700~114700

    • DOI

      10.1016/j.expneurol.2024.114700

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 3次元光計測イメージングとその生命科学及び散乱透視イメージングへの応用2023

    • 著者名/発表者名
      的場修,森田光洋
    • 雑誌名

      光技術コンタクト

      巻: 61 ページ: 20-24

  • [学会発表] Holographic microscope free from nonspecific opsin activation by imaging laser, “crosstalk”2023

    • 著者名/発表者名
      Priyanka Gore, Yuya Atomura, Manoj Kumar, Xiangyu Quan, Osamu Matoba, Hiroaki Wake, Mitsuhiro Morita
    • 学会等名
      第46回日本神経科学会
  • [学会発表] Impaired recovery from focal closed-head injury by STAT3 ablation in perilesional reactive astrocyte2023

    • 著者名/発表者名
      Sawant Nitin, Morita Mitsuhiro
    • 学会等名
      第46回日本神経科学会
  • [学会発表] Analysis of Local Intracellular Signaling in Astrocytes Using Two-Photon Holographic Microscopy2023

    • 著者名/発表者名
      M. Morita, Y. Atomura, P. Gora, M. Kumar, X. Quan, O. Matoba, H. Wake
    • 学会等名
      European Meeting on Glial Cells in Health and Disease
    • 国際学会
  • [学会発表] 生命活動の観察・操作を可能にするホログラフィック顕微鏡と散乱透視イメージング2023

    • 著者名/発表者名
      的場修,森田光洋
    • 学会等名
      第99回レーザー加工学会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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