研究課題/領域番号 |
17K07131
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
石田 純治 筑波大学, 生命領域学際研究センター, 講師 (30323257)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | PRMT1 / 血管内皮細胞 / 組織特異的KOマウス / 血管構造 / イメージング |
研究実績の概要 |
正常な血管は、胎児の生存と発育、また、成体での組織の働きに必須であり、酸素や栄養素を全身に循環させる血管の構造と機能に、血管内皮細胞は極めて重要である。タンパク質の翻訳後修飾であるアルギニンのメチル化を触媒する酵素・PRMT1は、血管の構造や機能に重要な血管内皮細胞で、特に胎生期で強く発現しているが(未発表)、その機能は不明である。本研究では、内皮細胞特異的なPRMT1欠損マウスの開発と、血管の高次構造の可視化を可能とする組織透明化in vivo 3Dイメージング技術とを組み合わせて、血管形成におけるアルギニンのメチル化が担う役割とその分子基盤の解明を目指している。 本年度は、磁気ビーズと抗体を活用した胎生期のマウス肝臓からの血管内皮細胞単離・回収法を確立した。回収した胎児肝臓内皮細胞からタンパク質を抽出し、胎仔由来の血管内皮細胞でPRMT1タンパク質が発現することを確認した。また、PRMT1のタンパク質発現は胎生期に強く、出生後に減弱することを見出した。さらに、PRMT1の酵素活性領域をloxP配列で挟んだマウス(PRMT1-floxマウス)と、血管内皮細胞で特異的にCre組換え酵素を発現するマウス(Tie2-Creマウス)とを交配し、血管内皮細胞特異的なPRMT1欠損マウス(PRMT1-ECKOマウス)系統の開発に成功した。これまでに、ヘテロ欠損マウス同士の交配実験から、PRMT1ホモ欠損マウスが産仔として得られないことが判明しており、妊娠期間を遡った解析から、内皮PRMT1欠損マウスは、胎生14日目頃に致死となることを突き止めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内皮細胞特的なPRMT1遺伝子欠損(P1-ECKO)マウスの作出に成功した。 また、マウスの胎仔組織からの内皮細胞調製法を確立し、内皮PRMT1は胎仔発育の各段階で発現量を変化させることを突き止めた。
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今後の研究の推進方策 |
樹立した内皮PRMT1欠損マウス(P1-ECKOマウス)について、胎生致死のタイミングを解析するとともに、組織中での内皮細胞のin vivo 3Dイメージング解析に向けて、赤色蛍光を発するレポーターマウスとP1-ECKOマウスとの交配を行い、ノックアウトされた細胞(内皮細胞)のみが赤色蛍光を発するP1-ECKOマウスを作出する。
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