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2018 年度 実施状況報告書

熱ショック転写因子HSF2による脳神経系保護機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K07136
研究機関山口大学

研究代表者

林田 直樹  山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (40420517)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードHSF2 / 神経細胞 / SH-SY5Y / Neuro-2a / 熱耐性
研究実績の概要

熱ショック転写因子 (HSF) は哺乳動物では4種類が知られており、それぞれの役割および臓器や組織における発現量は異なっている。HSF2 は他の臓器に比べ脳における発現が最も高い HSF であり、我々は、HSF2 を欠損させたハンチントン病 (HD) マウスは野生型の HD マウスに比べ寿命が顕著に短くなること、脳の線条体および大脳皮質における異常構造タンパク質の凝集体が多くみられることをすでに報告した (Shinkawa, Hayashida et al., Mol. Biol. Cell 2011)。
本年度は培養細胞を用いた解析を集中的に行った。ヒトの神経細胞 SH-SY5Y を用い、それに対してヒト線維芽細胞 NHDF、ヒト大脳微小血管内皮細胞 BME を同時に用いた解析を行った。また、ヒトとマウスの細胞の性質の違いを重視し、マウスの神経細胞 Neuro-2a とマウス線維芽細胞 NIH3T3 でも同じ解析を行った。いくつかの解析の中で、現在までに熱耐性の違いを一通り明らかに出来たので、その結果を報告する。
細胞は37度で維持し、実験は42度で24時間までの細胞における HSF2 の mRNA およびタンパク質の発現量の変化を解析した。ヒトの SH-SY5Y では、mRNA の量はほとんど一定であったが、NHDF では増加がみられ、BME では逆に減少した。マウスの Neuro-2a では時間依存的に減少がみられ、NIH3T3 では逆に減少していた。
タンパク質の発現レベルの変化は、意外なことに mRNA とは大きく異なっており、ヒト細胞では、3つのいずれの細胞でも HSF2 の量は増加していた。マウスでも Neuro-2a では増加がみられたが、NIH3T3 については増加する結果と顕著に減少する結果がそれぞれ複数回認められるという意外な結果となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実験動物を用いた実験が現状で進められない状況になってしまっており、そのことを鑑みて「やや遅れている」との自己評価にしたが、一方で、当初の実験計画を進める中で意外な結果が得られ、さらにそれを進めることで本年のように貴重なデータを得ることが出来た。本年の実験の内容は非常に基礎的であるが、これまで同様の実験を行って発表した論文はなく、論文として発表した後は、この分野(主にHSF)の多くの研究者の研究に貢献できると思われる。動物実験以外は当初の予定よりもむしろ多くの実験結果が得られているため、当初の予定とはずれがあるものの、実際には実験の伸展に遅れはないと考えている。動物実験が進められる環境が整うタイミングが、来年度は非常に重要となると考えているが、それまでの間に、培養細胞での実験データを止めることなく蓄積する予定である。

今後の研究の推進方策

本年度に得られた結果を引き起こすメカニズムの解析は全く出来ていないため、当初の実験計画にはなかったが、動物実験開始のタイミングが現状ではわからないことから、メカニズム解析に着手する考えである。その他は、当初の、3年間で行う予定としていた実験の中で、実施できていないものや実験途中であるものを順次進めて、論文発表できる形式にまとめていきたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Structures of the antibody 64M-5 Fab and its complex with dT(6-4)T indicate induced-fit and high-affinity mechanisms.2019

    • 著者名/発表者名
      Yokoyama H, Mizutani R, Noguchi S, Hayashida N.
    • 雑誌名

      Acta Crystallogr F Struct Biol Commun

      巻: 75(Pt 2) ページ: 80-88

    • DOI

      10.1107/S2053230X18017661

    • 査読あり

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公開日: 2019-12-27  

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