研究課題
今年度は、体外受精の条件の再検討を行った上で、若齢ウサギ由来卵子と成熟ウサギ由来の卵子を持ちた体外受精成績の比較に加え、卵子の質の検討として、グルコース6リン酸脱水素酵素(G -6-PDH)を指標とした、Brilliant cresyl blue(BCB)染色による細胞質の評価およびMito Traker Orange CMTMRo染色によるミトコンドリアの分布評価も合わせて行った。その結果、雌ウサギからの平均回収卵子数(mean±SE)は、若齢で104.7±24.8個、成熟で22.1±5.3個であった。採卵成績については、若齢ウサギにおてい平均で約5倍多く採取できた計算となった。体外受精の検討では、精子前培養用の培地にLysophosphatidylcholineを0.2mg/mlの濃度で加え、前培養2時間後に、BO medium中で媒精を6時間行うことで、体外受精翌日の受精率(体外受精後に分割した胚の割合)は、若齢(n=140個)で82.1%、成熟(n=99個)で78.8%と受精率を改善することができた。さらに、培養144時間後の胚盤胞への発生率は、若齢で38.6%、成熟で42.2%であった。受精率および胚盤胞への発生率において、若齢と成熟の間で有意な差は認められなかった。BCB染色による細胞質の評価でもBCB(++)は、若齢ウサギ由来卵子で60%で、成熟ウサギ由来卵子は73.0%と染色の程度に差は認められなかった。さらに、ミトコンドリアの分布評価でも活性化型のミトコンドリが不均一に分布している卵子は、若齢で42.1%、成熟で37.1%と有意な差は認められなかった。これらのことから、若齢ウサギ由来の卵子と成熟ウサギ由来の卵子の質に差はなく、少なくとも若齢ウサギから採取した卵子には受精能力があり、体外受精を行うことで胚盤胞まで発生することが明らかとなった。
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http://www.animal.med.saga-u.ac.jp/index.php?id=2