研究課題
発癌における環境因子の関係を解明するために、多発肺がんに着目した。多発肺がんの遺伝子プロファイルおよび環境因子の関与について検討した。2007年10月から2019年3月までの間に大阪市立大学付属病院で外科的切除された肺癌症例のうち、画像所見および病理診断結果よりキャンサーボードで多発肺がんと診断された34人78病変を対象とした。がん関連遺伝子409遺伝子を対象に次世代シークエンサー(Ion S5)で解析を行った。本邦における肺がん分子疫学研究JME試験(Kawaguchi T et al, J Clin Oncol 2016)の結果をもとに、遺伝子変異がby chanceで起こると仮定した場合に、同一個人内の多発肺がんで共通して変異が起こる確率を算出した。17症例38病変でシークエンス可能であり、年齢中央値は73歳(50-83歳)で、男性12人、女性5人、非喫煙者6人、既喫煙者11人、同時性多発肺がん13人、異時性多発肺がん4人であった。38病変において、EGFR変異は非喫煙者・軽喫煙者、女性で有意に頻度が高かった。その他の遺伝子変異に関して有意な環境因子との関連性を認めなかった。EGFR、KRAS変異は同一個人に発生した多発病変に有意に共通して変異が起こり、特に非喫煙者・軽喫煙者、男性では共通して起こりやすく、その他の遺伝子変異はby chanceで変異を認めた。以上の成果は肺癌の発がんにおける新たな知見を提供しており、現在、科学雑誌のScience Reportに投稿中である。一方、JME試験は米国のSWOG0424(大規模分子疫学研究)とも共同研究が進行中で、成果の一部は2017年の世界肺癌学会総会(招聘講演)、2018年5月の第一回広州肺癌研究会(招聘講演)で発表し、大規模解析を準備中である。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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