研究課題
CD239は、癌細胞の表面で発現上昇する抗原として見出された経緯を持ち、ラミニンα5鎖を含むラミニン-511/521に特異的に結合することが明らかになっている。CD239のリガンドであるラミニン-511/521が存在する基底膜は、非常に薄い膜状の構造体であり、細胞を秩序よく接着させ組織を安定化させている。この特殊な基底膜は様々な病態において乱れるため、細胞の形態が維持できなくなり、組織としての機能が破綻する。同時に病態における細胞は、基底膜に対する受容体などの発現を低下または上昇させるため、組織の恒常性を乱してしまう。2019年度の研究において、CD239が悪性の指標であるHer2とともに、乳癌組織に強く発現している癌抗原であることを明らかにした。また、乳癌細胞においてCD239とHer2が細胞膜表面上で複合体を形成している結果を得ることができた。さらに、CD239は乳癌だけでなく人工多能性幹細胞においても強く発現していることが明らかとなった。人工多能性幹細胞では、CD239に加えて同じ非インテグリンのラミニン受容体であるジストログリカンが発現していることを見出した。人工多能性幹細胞は、未分化性を維持しながら増殖させるため、ラミニン-511のE8断片上で培養されている。ラミニン-511のE8断片上には、CD239に加えてジストログリカンの結合部位があることを明らかにした。ジストログリカンの結合部位は、そのアミノ酸配列に基づいた合成ペプチドによって模倣できることから、培養基質として有用である可能性を示した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
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