研究課題
(1) 肺がん脳転移マウスモデルの作成と病理学的検索:脳転移指向性を持ったヒト肺がん細胞株PC9-Luc-EGFP-BrM3をマウス心腔内に接種して脳転移を誘導し、2週間後からEGFR阻害剤ゲフィチニブの投与を行った。このマウス脳組織の病理組織学的な検索を行ったところ、脳転移がん細胞は活性化アストロサイトに取り囲まれた微小残存病変(minimum residual disease, MRD)を形成し、これらの多くがKi67陰性の非分裂細胞として生存していることが明らかとなった。また生存がん細胞はこの段階では生存細胞は内因性の薬剤耐性は一切獲得しておらず、脳内微小環境によって一時的に守られていることが明らかとなった。(2) 1細胞遺伝子発現解析による生存がん細胞のトランスクリプトーム解析:初期薬剤耐性がん細胞における生存シグナルの同定を目的として、コントロール(0 mg/kg/day)およびゲフィチニブ治療群(20 mg/kg/day)のマウス脳組織からがん細胞のみを抽出し、1細胞遺伝子発現解析を行った。結果、MRDを形成する脳転移肺がん細胞ではサイトカインシグナルが亢進していることが明らかとなった。(3) 新規in vitro共培養系の確立とがん細胞-グリア細胞ネットワークの解析:EGFR阻害剤に対する初期薬剤耐性微小環境の分子基盤解明を目的として、がん細胞と初代培養グリア細胞の新規in vitro共培養系を樹立した。この共培養系を用いて薬剤スクリーニングを行ったところ、がん細胞の生存や増殖促進、あるいは増殖抑制に関わるアストロサイトと、これを規定するシグナル伝達経路の同定に成功した。
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