仮説「Ppp6cがメラノーマのがん抑制遺伝子である」の証明のため、我々が持つPpp6cF/Fマウスと、メラノーマ誘導マウス(Tyrosinase-CreERT2;BRAFF-V600E/+;PTENF/F)(Jackson 研)を掛け合わせて、マウスメラノサイト特異的にタモシフェンによる誘導変異を導入できる、以下の3種類のマウスの作製に成功した。①変異型B-raf+Ppp6cホモ欠損: Tyrosinase-CreERT2; BRAFF-V600E/+;Ppp6cF/F②変異型B-raf+Ppp6cヘテロ欠損:Tyrosinase-CreERT2; BRAFF-V600E/+;Ppp6cF/+③変異型B-raf+Ppp6c正常: Tyrosinase-CreERT2; BRAFF-V600E/+;Ppp6c+/+、これらのマウスを剃毛して、タモキシフェンを塗布して1年経過したが、それだけでは①、②、③いずれにおいても、腫瘍形成が認められないことがわかった。そこで、剃毛、タモキシフェン投与の後に、UV照射を行うことにした。その結果、紫外線照射により、Ppp6c正常マウス(③)に比べて、Ppp6cヘテロ欠損マウス(②)において、腫瘍の発症までの時間と腫瘍数の亢進を示した。一方、興味深いことに、Ppp6cホモ欠損(①)における腫瘍形成は著しく遅延した。現在、実験に用いるマウスの数を増やして、その再現性を検討中である。(617)
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