研究課題/領域番号 |
17K07189
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
牧野嶋 秀樹 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 研究員 (30510573)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 肺小細胞がん / 核酸代謝 / PI3K/mTOR経路 |
研究実績の概要 |
肺小細胞がんにおけるPI3K/mTOR経路を介したプリン代謝制御機構の解明を目指し、研究を進行させている。3年計画の一年目であり、前期は準備に時間がかかった。後期には、順調に研究を進行させることができた。 平成29年度は、プリン生合成が新規生合成かあるいは再利用経路を主に利用しているのか調べる目的で、2つの経路の活性比率を定量的に測定する実験系の構築を目指していた。その条件検討として、同位体の種類、同位体の濃度と標識する時間の長さ、肺小細胞がんの細胞株、質量分析計の条件検討を行った。測定系は、ある程度確立することができたため、今後解析を本格的に行う。 プリンの新規生合成経路と再利用経路の活性比率や生物学的な機能を解明する目的で、代謝経路に含まれる主要な酵素の遺伝子をノックダウン・ノックアウトし、新たな細胞株を作製した。細胞増殖能、細胞運動能および腫瘍形成能を評価することにより、がん細胞での生物学的な機能の解析を行った。さらに、観察された表現型のメカニズムを解明する目的で、代謝産物解析を行っている。遺伝学的な手法に加え、阻害剤を用いることにより、プリンの生合成経路および再利用経路の制御機構を解明したいと計画している。この研究計画に関連する下記論文を発表した。 Metabolic determinants of sensitivity to phosphatidylinositol 3-kinase pathway inhibitor in small-cell lung carcinoma. Cancer Res. 2018 Feb 28. pii: canres.2109.2017. doi: 10.1158/0008-5472.CAN-17-2109.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、プリン生合成が新規生合成かあるいは再利用経路を主に利用しているのか、2つの経路の活性比率を定量的に測定する実験系の構築を目指していた。その条件検討として、同位体の種類、同位体の濃度と標識する時間の長さ、肺小細胞がんの細胞株、質量分析計の条件検討を行った。測定系は、ある程度確立することができたため、今後解析を本格的に行う。そのため、今年度の到達目標は、ほぼ達成できたと考えている。 プリンの新規生合成経路と再利用経路の活性比率や生物学的な機能を解明する目的で、代謝経路に含まれる主要な酵素の遺伝子をノックダウン・ノックアウトし、新たな細胞株を作製した。細胞増殖能、細胞運動能および腫瘍形成能を評価することにより、がん細胞での生物学的な機能の解析を行った。そのため、今年度の到達目標は、ほぼ達成できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に樹立した新たな細胞株を用いて、細胞増殖能、細胞運動能および腫瘍形成能を引き続き評価する。プリン生合成経路の、がん細胞での生物学的な機能の解析を行い、観察される表現型のメカニズムをメタボローム解析を用いて解明する。遺伝学的な手法に加え、阻害剤を用いることにより、臨床応用にも発展させることが可能となる。プリンの新規生合成経路および再利用経路の制御機構を解明し、適切な阻害剤の組み合わせを見出したいと計画している。予想以上に進捗する場合には、in vitro の実験系だけではなく、マウスを用いるin vivoの実験系も使用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品費が計画より少なく、来年度の試薬等購入に充填する。
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