研究課題
肺小細胞がんにおけるPI3K/mTOR経路を介したプリン代謝制御機構の解明を目指し、研究を進行させている。3年計画の二年目であり、当初の計画よりも若干遅れている。一年目には、プリン生合成が新規生合成経路かあるいは再利用経路を主に利用しているのか調べる目的で、2つの経路の活性比率を定量的に測定する実験系の構築を目指していた。同位体の種類、同位体の濃度と標識する時間の長さ、肺小細胞がんの細胞株、質量分析計の条件を決定し、メタボローム解析を行い興味深い結果を得た。プリンの新規生合成経路と再利用経路の活性比率や生物学的な機能を解明する目的で、代謝経路に含まれる主要な酵素の遺伝子をノックダウン・ノックアウトし、新たな細胞株を作製した。細胞増殖能、細胞運動能および腫瘍形成能を評価することにより、がん細胞での生物学的な機能の解析を行った。さらに、観察された表現型のメカニズムを解明する目的で、代謝産物解析を行っている。遺伝学的な手法に加え、阻害剤を用いることにより、プリンの生合成経路および再利用経路の制御機構を解明したいと計画している。この研究計画に関連する下記論文を発表した。Metabolic Determinants of Sensitivity to Phosphatidylinositol 3-Kinase Pathway Inhibitor in Small-Cell Lung Carcinoma. Makinoshima H, et. al. Cancer Res. 2018 May 1;78(9):2179-2190. doi:10.1158/0008-5472.
3: やや遅れている
当初の計画よりも若干遅れている。同位体を用いた実験系の構築に、時間がかかったため。さらに、ノックアウト細胞の樹立にも想定以上に、時間がかかった。
in vivo マウスモデルにおけるプリン代謝産物量の定量と腫瘍増殖への影響を検討する。マウスゼノグラフトモデルを使用し、腫瘍組織、主要臓器のプリン代謝産物を測定することにより、in vitro の実験により得られる知見が、in vivo でも同様な制御機構で説明できるか検証する。新規治療法を開発する目的で、新規合成経路と再利用経路を同時に阻害する併用療法の可能性をマウスゼノグラフトモデルを用いて検証する。
外部委託を検討していた実験を自分で行ったため。人件費・謝金として使用する計画である。
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