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2017 年度 実施状況報告書

がんゲノム解析で残された微小コピー数変化の検出とその意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K07195
研究機関東京大学

研究代表者

辰野 健二  東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (80775239)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードがんゲノム / CNV
研究実績の概要

次世代シーケンサーによるゲノム解析では、繰り返し配列に存在する変異や微小なゲノムコピー数変化(CNV)など、現在の解析アルゴリズムでは検出が困難な変異は見過ごされている。本研究では、新たな解析アルゴリズムの開発により、これまでは検出困難であった種類の変異を同定し、その意義を探索することを目的としている。
29年度は、これまでに次世代がん研究プロジェクトなどで解析したデータの集積と、米国がんゲノムアトラス(TCGA)などの公共データベースからデータの集積を実施した。さらに、微小コピー数変化が存在する症例をスクリーニングするために、アレル別の微小領域CNVを表示できるCNV viewerを作成した。
一方、免疫チェックポイント阻害剤の応答予測因子として近年注目されているマイクロサテライト不安定性(MSI)を、ベセスダ基準などの限られたマーカー部位からだけでなく、エクソームシーケンスデータに多数存在するマイクロサテライト配列を網羅的解析するアルゴリズムを開発し、これまでのがんゲノム変異データと統合解析を行うことで、がんのより詳細な変異プロファイリングを解析した。
これまでに解析した37症例の胃がんでは、6症例がマイクロサテライト不安定性であると判定され、これらは1塩基変異は塩基挿入、欠失変異の頻度が高い、いわゆるHyper Mutatorの特徴と一致し、エクソームデータからのマイクロサテライト不安定性判定も有用であることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度の目標は検出困難ながんゲノム変異を発見するアルゴリズムのかいはつであるが、その前提として既存データの集積とデータの特徴を理解する必要があるため、CNV_viewerなどの解析環境の整備を重点とした。また、特に注目度の高いMSIに関してシーケンスデータから解析する手法の開発も実施し、より多面的な検出困難な変異の解析を進めることが出来ると考えるため。

今後の研究の推進方策

がんゲノムデータの集積とコピー数異常の概要が解析できたため、微小コピー数変化が存在する症例を抽出し、解析アルゴリズムの開発と最適化を進める。そのアルゴリズムの検証を、公共データベースに登録されているがんゲノム解析のデータなどで検証する。

次年度使用額が生じた理由

昨年度計画していた海外学会への参加を30年度に延期ししたため。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Epigenetic landscape influences the liver cancer genome architecture2018

    • 著者名/発表者名
      Hama Natsuko、Totoki Yasushi、Miura Fumihito、Tatsuno Kenji、Saito-Adachi Mihoko、Nakamura Hiromi、Arai Yasuhito、Hosoda Fumie、Urushidate Tomoko、Ohashi Shoko、Mukai Wakako、Hiraoka Nobuyoshi、Aburatani Hiroyuki、Ito Takashi、Shibata Tatsuhiro
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 9 ページ: 1643

    • DOI

      doi: 10.1038/s41467-018-03999-y

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Comprehensive and Integrative Genomic Characterization of Hepatocellular Carcinoma2017

    • 著者名/発表者名
      Ally Adrian, Balasundaram Miruna,,,,Aburatani Hiroyuki, Yamamoto Shogo, Tatsuno Kenji,,,et al
    • 雑誌名

      Cell

      巻: 169 ページ: 1327~1341.e23

    • DOI

      10.1016/j.cell.2017.05.046

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Distinct molecular profile of diffuse cerebellar gliomas2017

    • 著者名/発表者名
      Nomura Masashi, Mukasa Akitake, Nagae Genta, Yamamoto Shogo, Tatsuno Kenji, Ueda Hiroki, Fukuda Shiro, Umeda Takayosh, et al
    • 雑誌名

      Acta Neuropathol.

      巻: 134 ページ: 941~956

    • DOI

      10.1007/s00401-017-1771-1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] エクソームシーケンスデータからのマイクロサテライト不安定解析2017

    • 著者名/発表者名
      辰野 健二、吉川 修平、鈴木 章浩、山本 尚吾、永江 玄太、油谷 浩幸
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会第62回大会
  • [学会発表] ターゲットシークエンス検査による難聴患者の遺伝学的探索2017

    • 著者名/発表者名
      坂田 阿希、星 雄二郎、樫尾 明憲、 松本 有、山岨 達也、上田 宏生、 山本 尚吾、辰野 健二、油谷 浩幸
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会第62回大会
  • [学会発表] 243 症例の悪性胸膜中皮腫の統合的ゲノム解析2017

    • 著者名/発表者名
      竹下 純平、山本 尚吾、辰野 健二、白石 友一、大搗 泰一郎、 栗林 康造、近藤 展行、長谷川 誠紀、佐藤 鮎子、辻村 亨、中野 孝司、関戸 好孝、油谷 浩幸
    • 学会等名
      第76回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] 日本人胃癌ゲノミックプロファイル2017

    • 著者名/発表者名
      鈴木 章浩、垣内 美和子、田頭 周、加藤 洋人、山本 尚吾、 辰野 健二、酒井 英嗣、大島 貴、利野 靖、中島 淳、深山 正久、 石川 俊平、油谷 浩幸
    • 学会等名
      第76回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] 高異型度卵巣漿液性癌における統合解析を用いた年齢シグネチャー優 位群の特徴付け2017

    • 著者名/発表者名
      浅田 佳代、織田 克利、長谷川 幸清、西島 明、池田 悠至、 山本 尚吾、永江 玄太、辰野 健二、上田 宏生、藤原 恵一、大 須賀 穣、藤井 知行、油谷 浩幸
    • 学会等名
      第76回日本癌学会学術総会

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公開日: 2018-12-17  

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