研究課題
1.担がん患者ctDNAで認めた二峰性ピークの臨床的意義: 前年度までで、肺がん患者ctDNAは、long fragment(5 Kb)、short fragment(170 bp)の二峰性ピークが見られた事、遠隔転移を有する症例で優位にlung fragmentの量が多かった事を示した。Long fragmentの存在機序について、DNase1、DNase1L3の量とlong fragment の相関について検討したが、相関は見られなかった。そのため、long fragmentの保護機構が働いていると考え以下の検討を行っている。2.2峰性ピークの各DNAの塩基配列、会合分子の同定: long fragment、short fragmentのDNAを各々抽出し、次世代シークエンス解析の外注解析を行った。進行肺がん患者と共にコントロールとして健常人血漿遊離DNAも同時に検査に供した。その結果、分子Aが候補として同定された。現在、分子Aの合成、単離、ctDNAとの結合能について検討中である。3.Long fragmentの存在部位、extracellular vesicle(EV) との関連について: 上記の検討と共に、EVに内包ないしは結合によりlong fragmentが保護されている可能性について検討した。遠心条件を変え、種々のサイズのEVを抽出し、DNAサイズ、ctDNA含有量について検討中である。まず、肺癌細胞株培養上清よりEVを単離し、そのサイズ、表面マーカーの解析を行い、現在ヒト血漿DNAの解析に着手している。
2: おおむね順調に進展している
これまで、肺がん患者の血漿検体を保管していたため、臨床的検討を迅速に行う事ができた。ctDNAサイズ解析、各ピークからのDNA抽出もそれまで解析準備を行っていたことから、計画通り進行する事ができた。
1.Long fragmentの存在機序について ①会合分子の同定: long fragment、short fragmentのDNAを各々抽出し、次世代シークエンス解析の外注解析を行った。進行肺がん患者と共にコントロールとして健常人血漿遊離DNAも同時に検査に供した。その結果、分子Aが候補として同定された。分子Aの合成、単離は終了している。次にDNAとの結合性について、まず合成DNAと、次にヒトから抽出したctDNAとの結合能について検討する。②extracellular vesicle(EV) との関連について: 上記の検討と共に、EVに内包ないしは結合によりlong fragmentが保護されている可能性について検討を継続する。まず、肺癌細胞株培養上清よりEVを単離し、そのサイズ、表面マーカーの解析を行い、現在ヒト血漿DNAの解析に着手する。2.2峰性ピークの各DNAおよび会合分子ががん進展に関与するか1の結果に基づき、がんの浸潤、転移におけるctDNA、さらにlong fragment、short fragmentの効果について検討する。
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