研究課題
EGFR変異検出における組織と血液検体を用いた検査方法を比較した。EGFR変異検出法には、本邦で広く行われている高感度PCR法(PNA-LNA PCR Clamp法など)と、欧米で主に行われているreal-time PCR法を用いたCobas法がある。EGFR阻害剤耐性変異(T790M)特異的新薬Osimertinibの「コンパニオン診断薬」として組織から耐性変異を検出するCobas法が米国・本邦で承認されたが、高感度PCR法と比較し感度が低い。さらに血液を用いたCobas法による耐性変異検出が2016年秋に米国で承認されたが、本研究申請時点では血液を用いたCobas法は本邦では未承認であった(2017年7月より本邦で承認)。申請者は前向き研究によりEGFR阻害剤耐性肺癌患者の組織・血液検体を採取しPNA LNA PCR Clamp法とCobas法で感度・一致率を比較した。組織での結果は検査法に関わらず一致していたが、血液では感受性変異と耐性変異で一致率が異なった。血漿・血清の比較では同様に有意義であった。これらを論文にまとめ(Onco Targets Ther 2018)、追加データを含め学会発表した(第59回日本呼吸器学会学術講演会2019年4月)。実臨床での北里大学病院における組織と血液での比較検討(第42回日本呼吸器内視鏡学会学術集会2019年7月)、precision medicineの実践としての遺伝子パネル検査の運用の実際(第23回日本がん分子標的治療学会学術集会2019年6月)を発表した。基礎的な検討として、EGFR変異陽性肺癌細胞株を用いてEGFR阻害剤耐性株を作成し、耐性機序の検討を行い発表した(第60回日本肺癌学会学術集会2019年12月)。肺癌組織バンクでの検体収集を継続し、予後予測マーカーを検討中である。
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