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2017 年度 実施状況報告書

頭頸部癌におけるセツキシマブ治療の耐性機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K07203
研究機関近畿大学

研究代表者

米阪 仁雄  近畿大学, 医学部, 講師 (30330260)

研究分担者 坂井 和子  近畿大学, 医学部, 助教 (20580559)
土井 勝美  近畿大学, 医学部, 教授 (40243224)
北野 睦三  近畿大学, 医学部, 講師 (60716330)
田中 薫  近畿大学, 医学部, 講師 (80548628)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード薬効評価と予測 / MET / ヘレグリン / AKT
研究実績の概要

本研究の目的は、頭頚部癌の標準治療薬である抗EGFR抗体セツキシマブの耐性機序を明らかにし、同腫瘍の治療の改善につなげることである。まず頭頸部癌細胞株FaDuにセツキシマブを6か月間継続暴露し、セツキシマブ耐性株(FaDuCR)を樹立した。In vitro薬剤感受性試験において親株FaDuではセツキシマブ100ng/mLで細胞増殖を50%程度抑制したが、耐性株FaDuCRでは100µg/mLにまで抗体濃度を上げても細胞増殖抑制効果を全く認めなかった。
同抗体への耐性機序を解明すべくimmunoblotting assayを行った。親株FaDuでは10µg/mLセツキシマブ暴露によってEGFRの下流に存在する抗アポトーシス分子AKTのリン酸化が継時的に抑制された。対照的に耐性株FaDuCRでは、AKTのリン酸化は継時的に増強された。
次に著者らの過去の報告では大腸癌でのセツキシマブの耐性化には、HER2遺伝子増幅によるHER2活性あるいはリガンド依存的なHER3活性が関与した(Science translational Med 2011)。本研究での耐性株FaDuCRについてマイクロアレイ法により網羅的な遺伝子解析をおこなったところ親株FaDuに比べHE3リガンドのへレグリンが過剰発現していることが確認された。また追加で49種のチロシンキナーゼレセプターのリン酸化についてRTKアレイ法により評価した。結果、耐性株FaDuCRでは親株FaDuに比べMETレセプターのリン酸化が亢進していることが判明した。
以上よりHER3あるいはMETそしてその下流シグナルであるAKTの活性化がバイパスシグナルとなり、セツキシマブの耐性化をもたらした可能性があると考える。またIn vitro薬剤感受性試験では耐性株FaDuCRに対しAKT阻害剤(イパタセリチブ)の併用はセツキシマブの感受性を改善した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

おおむね研究計画に対し、順調に進捗状況は進展しているといえる。
当初予想したはHER3シグナルがセツキシマブの耐性に関与する点だけでなく、METシグナルも同耐性に関与することが示唆された。研究の重点をHER3だけでなくMETシグナルにも置くことで、研究を予定通り進められると考える。

今後の研究の推進方策

・頭頚部癌腫瘍組織を用いたセツキシマブ耐性に関する研究について対象となる被験者に説明し、研究参加の同意を取得する。
・腫瘍検体を用いてセツキシマブ耐性遺伝子の候補であるMet、HGF、HER3、ヘレグリン等発現の評価を行う(レトロスペクティブな検討)。
・セツキシマブ耐性細胞株FaDuCRをマウスに移植し、セツキシマブとAKT阻害剤イパタセリチブの併用試験を行う。
・細胞株を用いてセツキシマブ耐性機序の解明をより詳細に進める。

次年度使用額が生じた理由

分担研究者の研究進捗が計画に対し遅れており、研究費の使用を次年度に繰り越すこととなった。

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公開日: 2018-12-17  

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