研究課題
進行性大腸がん(mCRC)のFFPE検体(n=154)から抽出したDNAより、ゲノム全体におけるDNAコピー数の増減をCGHアレイ法により解析した。その結果、8q24.1-q24.2に遺伝子コピー数増加(CNG)のみられる患者(n=62)のうち、FOLFIRI療法+bevacizumab治療群の患者の方がFOLFOX 療法+bevacizumab治療群よりも有意に長いPFSやOSを示した。また、8q24.1-q24.2領域のコピー数が多い大腸がん細胞株(Colo320)は、イリノテカンのプロドラッグであるSN38に高い感受性を示し、コピー数の少ない大腸がん細胞株(DLD1)は比較的低い感受性を示した。次にこの染色体領域に含まれるがん遺伝子であるMYCをノックダウンするとMYCの高発現株であるColo320でSN38のIC50値はコントロールと比べて大きく上昇したのに対し、MYCの低発現株であるDLD1にMYCを強制発現させても、IC50はほとんど変わらなかった。このことからMYCはイリノテカンの感受性を高める何らかの働きは有するが、それ単独では感受性を高めるファクターにはならないことを示唆した。次に同じく8q24.1-q24.2領域に含まれるFAM84BをDLD1に強制発現させたところ、IC50が5倍ほど上がったことから、FAM84Bはイリノテカンの感受性を高める何らかの機能を持っていると考えられた。今後、さらにこの領域に含まれる他の遺伝子の検証を同様な方法で行い、詳細な機能を解析を経て標的治療に結び付けたいと考えている。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
J Immunother Cancer
巻: 7 ページ: 1-12
10.1186/s40425-019-0720-z