令和元年度は、これまでに探索的に得られた結果に基づいて、各癌腫における免疫モニタリング解析を進め、各種解析結果と奏効割合、無増悪生存期間、全生存期間等との関連を検証し免疫系因子におけるバイオマーカーの探索を進めた。
免疫抑制細胞の一つであるCD204陽性腫瘍関連マクロファージ(M2)が予後不良因子であることを胸腺がんや悪性リンパ腫において確認し論文報告した。同種移植を受けた悪性リンパ腫症例において、移植前における腫瘍局所に浸潤するCD204陽性腫瘍関連マクロファージ(M2)が、移植後の再発率や予後に影響していること、移植後再発時の腫瘍組織に浸潤しているM2-マクロファージがドナー由来ものであることも証明し論文報告した。また、胸腺がんにおいて腫瘍局所へのB細胞浸潤が予後良好因子であることを見出し、B細胞系免疫応答の重要性を発見した。
今後の複合がん免疫療法の治療開発戦略において、ミエロイド系の抑制細胞への介入や、CD8陽性傷害性T細胞だけでなく、CD4陽性T細胞を介したB細胞系免疫応答の増強についても考慮していく必要性を見出すことができた。
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