甲状腺癌はその組織型で大きく予後が異なる。分化型癌は長期生存をもたらすが、未分化癌は予後が著しく不良であり、唯一の承認薬であるレンバチニブの効果も不十分である。新たな治療法および治療薬の開発が必要である。そこで、レンバチニブの効果を増強しうる化合物を文部科学省化学療法支援班の標準阻害剤キットより探索したところIRAK1/4InhibitorIが選別された。甲状腺未分化癌細胞株を用いた検証実験から、IRAK1/4InhibitorIがG2/M期での細胞周期停止の増強を介して、レンバチニブの細胞増殖抑制効果を高めることを明らかにした。また、動物モデルにおいて抗腫瘍効果を増強させることを示した。
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