研究課題
癌免疫療法において、分化段階をターミナルエフェクターではなくメモリーT細胞に留めた癌抗原特異的T細胞を効率的に誘導する方法が求められている。本研究では、ターミナルエフェクターT細胞分化促進メカニズムを詳細に解析することで、T細胞の分化制御および効率的なメモリーT細胞誘導方法の開発に貢献することを目的とする。平成30年度までに、レチノイン酸シグナルによってT細胞においてクロマチン状態がオープンになることで発現が上昇する遺伝子Xを同定し、この遺伝子Xの強制発現がターミナルエフェクターT細胞様のフェノタイプをヒトおよびマウスのCD8+ T細胞に付加することを明らかにしてきた。R1年度では、遺伝子XのT細胞における生理的機能を明らかにするために、T細胞特異的に遺伝子Xを欠損するコンディショナルノックアウトマウス(遺伝子Xf/f CD4-Cre)、および、抗原特異的T細胞における遺伝子Xの働きを理解するためにOVA特異的TCRを持つコンディショナルノックアウトマウス(遺伝子Xf/f CD4-Cre Rag1-KO)を作製した。現在、これらのマウスを用いて腫瘍免疫応答における遺伝子Xの働きについて解析を進めており、本研究の目的である遺伝子Xを標的にすることでがん免疫療法の効果増大につながるか検討している。本研究で得た成果を臨床研究へ迅速に応用するためには、ヒトの癌抗原特異的T細胞を十分に理解・活用するプラットフォームを作製しなければならない。R1年度では、がん免疫療法を受けた患者のWT1特異的T細胞の免疫動態解析、抗原特異的受容体(TCR)の解析を進め、臨床研究への基盤を整備した。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)
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