研究課題
(背景)PDAC(膵管腺癌)の5年生存率は1-4%と非常に予後不良であるが、その理由のひとつとしてPDACの高転移能、高浸潤能が挙げられる。我々はこれまで(1)膵癌組織 中のGlyoxalase I(GLO1)が周辺の非癌部組織と比較して有意に高発現していること、(2)腎細胞癌の高転移クローンでのGLO1の発現が低転移クローン、中等度転移クローンに比較して有意に高いこと、(3)異物共皮下移植での慢性炎症によって誘発される実験的マウスの線維肉腫悪性化進展モデルでプログレッション・クローンでのGLO1発現が親株のリグレッション・クローンに比較して高いこと、(4)GLO1が癌細胞の動きを促進し、核内に移行して機能していることを明らかにして報告してきている。(目的)本研究では蛋白質レベルでGLO1の核移行の機序を明らかにし、さらに核内でどのような蛋白質と相互作用をしているかの検討を試み、阻害による転移抑 制を検討することが目的である。(結果)(1)マウスGLO1(mGLO1)(GFP、mGLO1、BioID-mGLO1、BioID(コントロール)、BioID-luc2(コントロール)をリグレッション・クローンQR-32に発現させた(90%以上の細胞で発現)。また、ヒトGLO1(hGLO1)をPDAC細胞株KLM1に発現させた(90%以上の細胞で発現)。BioID-GLO1以外のいずれも細胞質、核での発現が確認できたが、BioID-GLO1は核に入らない可能性が考えられた。GLO1自体小さなタンパクなのでBioIDをつけると局在に大きく影響した可能性が考えられた。(2)BioID-GLO1を用いた方策がうまくいかなかったため、Flag-GLO1発現を用いてのCoIPでの同定に変更した。KLM-1:tet-3xFLAGEGFP、KLM-1:tet-3xFLAG-hGLO1、QR32:tet-3xFLAG-EGFP、QR32:tet3xFLAGhGLO1を作成しFLAG磁器ビース(M8823-1ML, Sigma)を用いてGLO1と核内で結合している蛋白質の同定を熊本大学医学部の荒木令江先生との共同研究で行っている最中である。
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