研究課題/領域番号 |
17K07224
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
柳生 茂希 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10572547)
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研究分担者 |
菊地 顕 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (40453104)
中沢 洋三 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (60397312)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 横紋筋肉腫 / 遺伝子改変T細胞 / CAR-T細胞 |
研究実績の概要 |
小児悪性軟部肉腫に高発現するEPHB4受容体に対して、EPHB4を特異的に認識し、殺傷することができるキメラ抗原受容体T細胞(EPHB4-CAR-T細胞)を開発した。EPHB4-CAR-T細胞は、EPHB4陽性の横紋筋肉腫細胞のみならず、乳がん細胞においても強力な抗腫瘍効果を認めた。 EPHB4-CAR-T細胞を最適化するために、適切なスペーサー、共刺激因子の検討を行った。その結果、共刺激因子としてCD28を選択して、非ウイルス遺伝子改変法でEPHB4-CAR-T細胞を作製した場合には良好な細胞増殖と抗腫瘍効果を得ることができたが、4-1BBを選択した場合には良好な細胞増殖を得ることができなかった。そのため、今後の開発はCD28共刺激因子をもつEPHB4-CAR-T細胞で進めていくこととした また、EPHB4-CAR-T細胞作製の際の培養方法について最適化した。我々の検討により、自己末梢血単核球由来の遺伝子改変フィーダー細胞を用いることで、およそ14日間で、ドナー特性によらず、良好なCAR発現率、細胞増殖率を得ることができた。本培養法は現在知財出願準備中であり、2019年6月をめどに出願を行う予定である。 さらには、正常組織パネルを用いたEPHB4発現解析を行った。免疫組織化学による検討では、ヒト胎盤で比較的強いEPHB4発現を認めたが、それ以外の正常組織では、EPHB4の膜表面上の発言は認めなかった。 最終年度には、これらの知見を踏まえて、臨床応用を見据えたCAR-T細胞療法製造方法の開発を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目的としていたEPHB4-CAR-T細胞の開発と抗腫瘍効果の確認ができた。また、EPHB4-CARコンストラクトの最適化のための共刺激因子の検討を追加で行い、最適化された共刺激因子を選択することができた。さらには、臨床応用を見据えた培養法の開発を並行して行い、新規培養法の開発の結果知財出願をするに至った。以上の結果から、本研究の進捗は概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの知見を踏まえ、2019年度は、EPHB4-CAR-T細胞の臨床応用を見据えた培養方法のさらなる最適化、安全性試験、適格性試験のための正常組織パネルを用いたコンパニオン診断方法の開発、また、横紋筋肉腫以外の癌腫に対するEPHB4-CAR-T細胞の抗腫瘍効果の評価を行い、EPHB4-CAR-T細胞療法の実用性、汎用性に関わる研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究機関である信州大学での研究内容を一部京都府立医科大学で施行したために、信州大学で購入予定であった試薬を京都府立医科大学で計上したため、次年度使用額が生じた。次年度には、信州大学での研究実施を行うため、次年度に請求を行う予定である。
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