肺がんは癌死亡率の第1位を占め、罹患率も極めて高く、治療法の確立は喫緊の課題である。本研究は、PKCηを標的とした新規肺癌分子標的治療法の提案である。PKCηは肺がん細胞において、EGFR等の増殖因子受容体や接着因子の膜輸送制御に関与する。本治療戦略はPKCηの機能阻害を介して、上記分子の適切な細胞内輸送を妨げることで、がん細胞の増殖阻害・浸潤・転移能抑制を誘導する新たな視点からの癌治療法である。更に、既存のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤における獲得耐性の克服にも応用可能である。また、標的分子の転写活性に着目した本研究独自の大規模薬剤探索法は、新規治療薬の発見・同定につながるものと考える。
|