研究課題/領域番号 |
17K07234
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研究機関 | 公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター) |
研究代表者 |
喜納 宏昭 公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター), ナノ医療イノベーションセンター, 主幹研究員 (70283067)
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研究分担者 |
劉 学瑩 公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター), ナノ医療イノベーションセンター, 研究員 (30777470)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 癌幹細胞阻害剤 / ナノミセル |
研究実績の概要 |
以前の研究において、スタウロスポリン(STS)およびその類似体が、癌細胞より癌幹細胞に対して低濃度で効果を示すことを確認し、臨床第1相試験中のpH応答性エピルビシン(Epi)内包ミセルにSTSを同時内包させたSTS/Epi内包ミセルが難治性の中皮腫同所移植モデルに対して画期的な治療効果を示すことを確認している。平成29年度においては、難治癌であるスニチニブ耐性腎癌に対するSTS/Epi/mの投与による効果を確認した。腎癌において第一選択薬は、スニチニブ・ソラチニブであるが、その投与は、一時的にがん抑制がみられるが、数ヶ月以内に再発することが知られている。その問題を解決するため、スニチニブ耐性がん(786-0)を見いだし、同所移植モデルによってその抗腫瘍効果が、スニチニブでは、見られないが、我々の開発したナノ治療薬STS/Epi/mにおいて高い効果があることが、わかった。また、ミセルに同時封入したEpiは、細胞を殺傷する際、Calreticulinなどのタンパクを膜表面に露出させることによってDendritic cellに提示し、免疫を誘導する(Immunogenic cell death ICD (Pol et al, OncoImmunology; 2015))。我々が開発したSTS/Epi/m投与により、マウス腎癌(Renca)同所モデルにおいて、著しくICDが誘導され、肺転移を抑制し、また、ワクチン効果による再発(生着)の抑制があることを見いだした。さらに、同時封入したSTSは、薬剤耐性変異であるGatekeeper変異キナーゼに対して正常およびその他の突然変異キナーゼに対してより、高い効果を示した。これらの結果は、我々のナノ治療薬が、耐性癌になった癌に対して高い効果を示すと同時に、がん免疫を誘導し、転移および再発を抑制することが期待されることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スニチニブ耐性腎癌に対して、我々の開発したミセルが、高い効果があることを明らかにすることができた。また、スニチニブ耐性腎癌の耐性メカニズムを明らかにし、どうして、我々のミセルの高い効果を示すかの証明をすることができた。同時に、このミセルは、免疫を誘導し、再発、転移を抑制することを示すことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
作製した新規癌抗癌剤封入ミセルの癌モデルに対する他の癌種に対する効果を確認し、血中滞留性、がんへの集積を含めた、Biodistribusion の研究を行う。また、その抗腫瘍効果のメカニズムをさらに、詳細に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の海外の学会がなかったため、差額分は、来年度に回す
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