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2019 年度 実績報告書

転写量ノイズを消去し細胞均一性を維持する機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K07247
研究機関名古屋大学

研究代表者

鈴木 美穂  名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (80548470)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードlncRNA
研究実績の概要

子宮がん細胞(HeLa cell)の3つの細胞画分(クロマチン、核質、細胞質)に含まれるRNAを抽出し、各画分に含まれるRNA量の比のデータを得た。この中に、核に滞留する特異的なlncRNAが存在することに注目した。分画RNAデータより、遺伝子から転写されるmRNAと同様主に細胞質に存在するlncRNA、またそれに加えて、細胞質と核の両方に存在するlncRNA、そして主に核に留まるlncRNAを同定した。核に滞留するlncRNAのうち、発現量が多いlncRNA TUG1の機能の解析を行った。HeLa/Fucci2細胞においてTUG1をノックダウン(KD)したところ、S期におけるγ-H2AX陽性細胞を有意に増加させることが明らかになった。また、TUG1 KD 細胞では、S期遅延、もしくは停滞がおきていることが示された。さらにTUG1 KDは、複製フォークの伸長スピードを遅らせ、複製異常によるDNA損傷を引き起こすことによってS期の進行を阻害し、細胞の増殖抑制とアポトーシスを誘導することが明らかになった。次に、in situハイブリダイゼーション(smFISH)と免疫蛍光法を組み合わせ、TUG1と核スペックル体が核内で共存するかどうかを調べた。様々な核内スペックル体の中で、SC35をマーカーとして可視化されるnuclear speckleの近位に、TUG1が局在することを見出した。以上の結果から、細胞質に比べて核に多く存在するRNAが存在し、その中には核内の生物学的現象に必須のRNAが含まれていることが明らかになった。本研究ではその一例としてDNA複製の進行に必須のlncRNAを同定した。核に滞留するRNAはしばしば疾患特異的に過剰発現しており、治療のターゲットとして期待される。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Pathogenic Epigenetic Consequences of Genetic Alterations in IDH-Wild-Type Diffuse Astrocytic Gliomas2019

    • 著者名/発表者名
      Ohka F、Shinjo K、Deguchi S、Matsui Y、Okuno Y、Katsushima K、Suzuki M、Kato A、Ogiso N、Yamamichi A、Aoki K、Suzuki H、Sato S、Arul N、Prabhakar S、Goke J、Shimamura T、Maruyama R、Takahashi S、Suzumura A、Kimura H、Wakabayashi T、Zong H、Natsume A、Kondo Y
    • 雑誌名

      Cancer Research

      巻: 79 ページ: 4814~4827

    • DOI

      10.1158/0008-5472.CAN-19-1272

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] S期進行における lncRNA TUG1 の機能2019

    • 著者名/発表者名
      鈴木美穂, 飯島健太, 勝島啓佑, 室伏善照, 新城恵子, 近藤豊
    • 学会等名
      第13回日本エピジェネティクス研究会年会
  • [学会発表] Regulation of Genome Integrity by Direct and Immediate Interaction between lncRNA-1 and Replication Protein A2019

    • 著者名/発表者名
      Suzuki M, Iijima K, Katsushima K, Murofushi Y, Shinjo K, Kondo Y
    • 学会等名
      Abcam Epigenetics Conference and 14th Asia Epigenome Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] DNA複製阻害により発現上昇するlncRNA(長鎖非翻訳RNA)の機能2019

    • 著者名/発表者名
      鈴木美穂, 飯島健太, 室伏善照, 新城恵子, 近藤豊
    • 学会等名
      日本分子生物学会

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公開日: 2021-01-27  

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