研究課題/領域番号 |
17K07251
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
江花 有亮 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 講師 (60517043)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 心房細動 / 機能解析 / NEURL |
研究実績の概要 |
GWAS[1]で使用された全てのSNVのP値、染色体上の位置情報、オッズ比のファイルを作成する。MATLAB(R2018a)をプラットフォームとするコンピューティング言語でプログラムされたMAGENTAにより解析したところ、CTCF経路とmTOR経路が同定された。CTCF経路とmTOR経路の関与を確認するために、本学心臓外科で採取した既存試料(僧帽弁膜症症例)11検体を用いて、Microarray解析を実施した。心房細動患者と非心房細動患者で2つの経路の関与を調べたところ、心房細動患者から採取された心房筋においてはmTOR経路が抑制されていることが示された。 次に同定されたユビキチン・リガーゼNEURLのmTOR経路への作用を調べるために、mTORC1複合体に含まれる分子およびmTORC2に含まれる分子のタンパク・リン酸化レベルの変化を調べた。HL-1細胞をsiNEURL, siCtrlでノックダウン処理をして、PRAS40を調べたところ、いずれも遺伝子発現抑制は認められなかった。そこで、再度LC-MS/MS分析を実施したところ、BAG6, PRKAR1Aが同定された。siNEURL, siCtrlで比較したところ、遺伝子発現に有意差を認めた。また、既報でCPEBファミリーの発現レベルへの影響について調べたところ、CPEB2および4で有意差が認められた。 マウスの心臓電気生理検査を実施予定であったが、実験を依頼する予定であった研究者が渡米してしまったため、実施困難となってしまった。 [1]Sinner, Ebana, Furukawa, Ellinor et al. Circulation (2014) 130 15:1225-35
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GWAS[1]で使用された全てのSNVのP値、染色体上の位置情報、オッズ比のファイルを作成する。MATLAB(R2018a)をプラットフォームとするコンピューティング言語でプログラムされたMAGENTAにより解析したところ、CTCF経路とmTOR経路が同定された。CTCF経路とmTOR経路の関与を確認するために、本学心臓外科で採取した既存試料(僧帽弁膜症症例)11検体を用いて、Microarray解析を実施した。心房細動患者と非心房細動患者で2つの経路の関与を調べたところ、心房細動患者から採取された心房筋においてはmTOR経路が抑制されていることが示された。 次に同定されたユビキチン・リガーゼNEURLのmTOR経路への作用を調べるために、mTORC1複合体に含まれる分子およびmTORC2に含まれる分子のタンパク・リン酸化レベルの変化を調べた。HL-1細胞をsiNEURL, siCtrlでノックダウン処理をして、PRAS40を調べたところ、いずれも遺伝子発現抑制は認められなかった。そこで、再度LC-MS/MS分析を実施したところ、BAG6, PRKAR1Aが同定された。siNEURL, siCtrlで比較したところ、遺伝子発現に有意差を認めた。また、既報でCPEBファミリーの発現レベルへの影響について調べたところ、CPEB2および4で有意差が認められた。 マウスの心臓電気生理検査を実施予定であったが、実験を依頼する予定であった研究者が渡米してしまったため、実施困難となってしまった。 [1]Sinner, Ebana, Furukawa, Ellinor et al. Circulation (2014) 130 15:1225-35
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今後の研究の推進方策 |
NEURLの機能解析を進めるにあたって、まず細胞実験でCPEB2/4の関与を調べる。それぞれNeurlとのダブルノックダウンによる細胞への影響について観察する。次にマウスモデルで表現型を含めて評価する。ユビキチン・リガーゼであるNeurlの年齢依存的な機能変化を見るために新生児、4-8週齢、3-4か月齢、1年齢のマウスで心筋特異的なNeurl欠損を誘導し、各ステージのRNAおよびタンパク質を抽出し、PI3K/AK/mTOR経路の比較解析を行う。特に以下で述べる心臓生理学的解析で相違のあったステージの病理組織から免疫化学染色(タンパク質発現と分解)、共焦点顕微鏡(タンパク質の局在・オルガネラの変化)、電子顕微鏡(オルガネラの変化・原因の探求)によって形態学的な評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同で研究を実施していた大学院生の留学などに伴い、動物実験の準備に時間がかかってしまったため、初年度に実施すべき内容を次年度に実施することとした。 ただし、全体の計画は細胞実験を代わりに実施し、全体の進行としては進んでいる。 更に本研究と関連のある研究を実施し、これらが論文化した。その準備に時間がかかってしまった。
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