[背景と目的] Monogenic Diabetesは1種類の遺伝子の異常により若年で発症する糖尿病で、その大多数はMODY(maturity onset diabetes of the young)である。MODYの数は本邦では1.2万人と推定されるが、ほとんどは2型糖尿病や1型糖尿病と誤診され、個別化医療の実践は欧米と比べて遅れている。英国では約80%で原因遺伝子が明らかにされているが、日本我では20%程度である。我々はサンガーシーケンス、大家系を用いた連鎖解析、ターゲットシーケンス、MLPA、micro arrayで解析を継続してきたが、約半数で原因遺伝子が不明である。本研究の目的は、全エキソームシーケンシングで網羅的に原因遺伝子を解明することである。 [被験者と方法] 30歳未満診断の糖尿病で膵島自己抗体陰性の27名(F/M=14/13)。診断時年齢は15.9±3.9。NovaSeq6000 Sequencing System(Illumina)を用い、BWA-MEMを用いて参照配列(GRCh37)にマップした。VariantはHaplotype Caller を用いて抽出後、アノテーションにはANNOVARを用いた。CNV は27名のデータを参照し、XHMNを用いて定量化した。 [結果] 9名(33%)に変異を見出した。内訳はHNF1A(MODY3)3名、以下の6種類で各々1名ずつ変異を同定:HNF4A(MODY1)、GCK(MODY2)、HNF1B(MODY5)、CEL(MODY8)、ABCC8(MODY13)、INSR。うち1名はCEL遺伝子欠失とHNF4A停止コドンの重複例。さらに6名にSLC30A8、BLK、INSR、GCKに病因の可能性の高いvariantを見出し、家系内サンプルの確認中である。 [結論] 全エキソームシーケンシングは極めて有用なツールである。
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