• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

ゲノム変異標的分子による予後不良膵腺管がん治療戦略の構築

研究課題

研究課題/領域番号 17K07259
研究機関千葉県がんセンター(研究所)

研究代表者

渡部 隆義  千葉県がんセンター(研究所), がん研究開発グループ, 研究員 (60526060)

研究分担者 篠崎 喜脩  立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 研究員 (00766553)
高取 敦志  千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ, 室長心得 (40455390)
越川 信子  千葉県がんセンター(研究所), がん遺伝創薬研究室, 主席研究員 (90260249)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードKR12 / 膵臓がん
研究実績の概要

難治癌である膵癌の多くではKRAS遺伝子変異が発がんの原因になっているが、この活性型変異KRASは薬剤開発の難しい標的として知られている。我々は、DNA塩基配列を認識し、配列特異的にアルキル化することができるアルキル化ピロール・イミダゾールポリアミド(PIP)化合物の開発に取り組んでおり、大腸がんにおけるKRAS遺伝子変異(G12D/V)を標的とした化合物(KR12)を開発した。これまでに、KR12が大腸がんのみならず、KRAS遺伝子変異による膵がん自然発症マウスモデルにおいても抗腫瘍効果を示すことを確認した。本研究では、膵癌由来細胞株におけるKR12の薬理効果の検討と感受性関連遺伝子の探索を行うことを目的として研究を続けている。
本年度は昨年度明らかにした膵癌細胞株KP-4以外の膵癌細胞株PANC-1、CAPAN-1、CAPAN-2、AsPc-1細胞におけるKR12のIC50値を測定した。その結果、CAPAN-1細胞において、IC50値は7.1 nMと著しく低い値を示した。一方、PANC-1やCAPAN-2、AsPc-1細胞におけるIC50値は16‒86 nMと比較的高い結果であった。更に現在は上記の細胞株を異種移植したモデルマウスを作成し、動物実験におけるKR12の抗腫瘍効果を検討している。また、KP-4及びCAPAN-1のマイクロアレイ解析を行っている最中である。また、Chemseqを行うためのKR12-biotin化合物の合成が困難であったが、合成法を見直した結果、樹脂をOxime resinから2-Cl-Tri-Cl resinに変更した新規合成法の開発に成功した。現在は新規合成法にて合成したKR12-biotin化合物の毒性試験を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は昨年明らかにしたKR12が膵腺管がん(PDAC)細胞株KP-1に対する抗腫瘍効果を見出したが、本年度では更に対象となる癌腫を広げるために4種類のPDAC細胞株に対しin vitro 及びin vivoにおける抗腫瘍効果を見出した。これはKR12がKRASコドン12の変異癌に対し広く適応できる可能性を示唆している。更に発現解析に必要なビオチン標識した薬剤、KR12-bitionを動物実験に用いることが可能な収量で得られる合成法を確立した。現在はこの化合物の毒性試験とchemi seqによる網羅的発現解析によるの条件検討を行っている最中である。

今後の研究の推進方策

研究最終年度では担癌マウスにおける最適化PIP-CBI の毒性試験により最大許容量を決定する。また薬剤の投与量漸増による単回および複数回投与試験を行う。更にKR12-biotinを担癌マウスに投与し、腫瘍や各臓器からDNA を回収しChem-seq 法による結合部位の同定およびマイクロアレイ発現解析を行い、in vivo において最適化PIP-CBI がどのような遺伝子シグナルを制御することで抗腫瘍効果を発揮しているのかを予測、検証する.。

次年度使用額が生じた理由

30年度ではPIP化合物の合成法の改良により収率が大幅に改善されたため合成に掛かる費用が抑えられた。最終年度ではChem seqに用いるビオチン化PIP-CBI化合物などが動物実験に向け大量に合成する必要があるため材料や実験試薬の購入資金としてこの差額を活用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 膵癌におけるアルキル化ピロール・イミダゾールポリアミドの薬理効果と 感受性関連遺伝子の探索2018

    • 著者名/発表者名
      辻本彰子、高取敦志、松尾仁以奈、K.Sakthisri、L.Jason、篠崎喜脩、渡部隆義、永瀬浩喜
    • 学会等名
      第27回 日本癌病態治療研究会
  • [学会発表] 辻本彰子、高取敦志、松尾仁以奈、井上貴博、渡部隆義、篠崎喜脩、永瀬浩喜2018

    • 著者名/発表者名
      膵癌におけるKRAS変異を標的にしたアルキル化ピロール・イミダゾールの抗腫瘍効果の検討
    • 学会等名
      第77回日本癌学会学術集会

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi