研究課題/領域番号 |
17K07271
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西川 完途 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (10335292)
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研究分担者 |
島野 智之 法政大学, 自然科学センター, 教授 (70355337)
蛭田 眞平 独立行政法人国立科学博物館, 分子生物多様性研究資料センター, 特定非常勤研究員 (80624642)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 分子系統解析 / ミトコンドリアDNA / 核DNA / 分類学 / 共種分化 |
研究実績の概要 |
宿主のフトイモリ属、コブイモリ属、ラオスイモリ属のミトコンドリアDNAを用いた分子系統関係を調査するとともに寄生者であるミズダニ類のDNA抽出やプレパラート作成法の確立、核DNAを用いた分子系統解析の初期段階までを終えることができた。 その結果、宿主の系統関係についていくつかの分岐点の支持率が低いために、解析の長さを伸ばすか、領域自体を変える必要性が示された。ミズダニの方は数個体について核DNAの部分配列を得て系統関係の構築を行ったが、全体的な支持率は低めであった。 またミズダニの分類については海外の研究協力者にサンプルを受け渡す準備中であり、分類学的な研究に着手できる見込みである。国内で申請者らが予備的に形態を見た結果からは、および分子系統解析の結果からは、多くの未記載種がサンプルに含まれている可能性が強く示唆されている。このことはミズダニの分類の方が大きく遅れており、早急に対処しなければならないことを示している。イモリの分類の方はほぼ決着がついており、研究の進展に支障はないと言える状況であるが、一部未記載種の可能性のあるサンプルもあるために分類学的な調査が必要である。 これまでの宿主と寄生者の系統関係の予備的比較結果からは、彼らの間での共種分化の可能性は低く、何度も宿主転換が生じた可能性を示唆している。ただしランダムな宿主転換ではなく、ある程度の地域性もみられるために、両者の進化や種分化には何らかの地理的な隔離などが影響を与えていることが示唆されたとも言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初想定していたレベルのサンプル入手、標本作成、予備的な系統解析までは順調に達成されており、今後の改善内容も判明して、かつ次年度に十分対処できる可能性がしめされているため。また、ミズダニの分類が専門の海外の研究者とも頻繁に連絡が取れており、サンプルを渡すことができれば速やかに研究を進めて成果が得られる見込みが付いている。 上記のような現状から、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は宿主と寄生者の両方の分子系統解析の結果を改善するために、解析領域を長くするか、領域自体を増やすか変えるなどに取り組む予定である。また、ミズダニの分類は海外の共同研究者とともに進めて、未記載の可能性のある標本については記載を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外調査の予定が、海外の研究協力者との日程調整がつかずにキャンセルになったことと、謝金支払いを予定していたポスドクが就職のために雇入れができず、適当な候補も見つからなかったため。
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