二粒系コムギは、約1万年前にレバント北部で野生二粒系コムギから栽培化された。この祖先野生種は自生地の多様な環境に適応・進化しており、集団内・集団間で非常に高い多様性をもつことがわかってきた。このような野生二粒系コムギは、今後の地球環境の変化に対応した作物改良の素材としても不可欠である。しかし、栽培化起源地の野生コムギ集団は人為的破壊によって消失の危機にある。本研究では、栽培化起源地の野生コムギ集団を持続的・発展的に利用するため、自然集団の多様性を反映させた「擬似自然集団群」を育成した。また、この疑似自然集団サンプルの一部について葉緑体DNAの多型解析により自然集団の遺伝的多様性を調査した。
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