• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

1分子レベルのDNA超らせん構造制御技術を用いたDNA複製開始反応の解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K07280
研究機関群馬大学

研究代表者

桂 進司  群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (10260598)

研究分担者 大重 真彦  群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (00451716)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードDNAポリメラーゼ
研究実績の概要

今年度は、DNAの高次構造を制御した条件で行うDNA複製解析の前段階の実験として、性質(processivity:酵素が基質に貼り付いてから遊離するまでの1 attackで合成する鎖長 )の異なるDNAポリメラーゼを用いた多分子解析実験と1分子解析実験をおこなった。使用したDNAポリメラーゼはprocessivityの低いE. coli DNA ポリメラーゼ Iとprocessivityの高いT7 DNA ポリメラーゼである。
まず、多数の鋳型DNAを対象に1分子解析を行った結果、processivityの低いE. coli DNA ポリメラーゼ IによりDNA合成反応を行った場合には多数の2本鎖DNA合成産物が確認されたが、その平均合成長は5.1μmに止まっていた。一方、processivityの高いT7 DNA ポリメラーゼによりDNA合成反応を行った場合には、2本鎖DNA合成産物の数は少なかったが、その平均合成長は11.1μmに達した。
次に、processivityの高いT7 DNA ポリメラーゼのリアルタイム1分子解析を行った結果、DNA合成反応の間、鋳型λDNAのssDNA領域の自由端が徐々に短くなった様子が観察され、その後、YOYO-1による2本鎖染色により合成鎖を確認した。ssDNA領域長の解析の結果、合成速度の平均は142bases/sとなった。さらに反応の一時停止が観察され、一時停止前後での合成速度は141bases/sと169bases/s、115bases/s と 142bases/s及び147 bases/sと152 bases/sと変化することを確認した。高いprocessivityを有しているT7 DNA ポリメラーゼは、反応の一時停止前後で合成速度が変化していることから、DNAポリメラーゼ分子が入れ替わっている可能性があることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度の研究では1分子観察で個々のDNA ポリメラーゼ の挙動を明らかにし、 その結果によりDNA ポリメラーゼを特徴付けることができた。このことは、本実験系が、distributiveおよびprocessiveなDNA ポリメラーゼ等、様々な合成様式の違うDNA ポリメラーゼのDNA複製反応の解析に使用できることを確認した。また、今年度はDNAへ超らせん構造を導入しながら蛍光解析を行うシステムを作成したが、この装置を用いた解析は進んでいないので、「やや遅れている」と判断した。

今後の研究の推進方策

引き続き、様々な合成様式の違うDNA ポリメラーゼの1分子解析することで、各段階のDNA複製反応の中間過程を明らかにする。とりわけ、polεとPCNAとの相互作用を1分子レベルで解析し、他のDNAポリメラーゼの性質との違いを1分子レベルで解析を進める。また、本年度に製作したDNAへ超らせん構造を導入しながら蛍光解析を行うシステムを用いて、各種DNA ポリメラーゼの挙動解析を、鋳型DNAへの超らせん導入の有無の条件下にて行い、超らせんがDNA合成反応に与える影響を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

各種DNAポリメラーゼの発現・調製に培養細胞を用いることを計画していたが、H30年度には実施できなかったので、H31年度の予算を使用して実施する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 発光酵素ルシフェラーゼによるDNA合成反応の検出2018

    • 著者名/発表者名
      栗本雅之、小野稜平、手塚大輔、樋山みやび、板橋英之、大重真彦、桂進司
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会年会

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi