申請者は、真核生物RNAポリメラーゼII(RNAPⅡ)の C末端領域(CTD)にリン酸化特異的に結合する新規ヒトタンパク質PCIF1を同定し、その機能解析を進めている。PCIF1は、RNA m6A修飾活性を有すると想定されるドメインを持つことが最近明らかとなった。そこで本研究は、PCIF1が実際にRNA m6A修飾活性を有するかを検証し、遺伝子発現調節おける機能を解明することを目的としている。 昨年、東京大学・鈴木勉教授らと共同研究で、PCIF1が転写初期段階のリン酸化CTDに選択的に結合し、Pol II転写産物のキャップ構造に続くアデニン6位のメチル化(m6Am修飾)を行うことを明らかにし、PCIF1が新規RNAメチル化酵素であることを証明することができた。一方PCIF1がどうのように遺伝子発現を制御しているかについては未だ不明な点が多く残されている。 本年度は、PCIF1が単独で細胞内で機能しているか、またどのような因子によって機能制御されているかを解明するために、PCIF1を含むヒト細胞内複合体の精製・同定を試みた。HeLa細胞全核抽出物とPCIF1抗体をもちいた免疫共沈降物の質量分析によってPCIF1相互作用候補タンパクを鈴木教授らと共同研究で同定した。
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