必須栄養素である脂質は、DNA損傷を引き起こす種々のアルデヒドの発生源として知られているが、それらを無害化する分子機構については不明な点が多く残されている。本研究課題では、脂質代謝に関与する酵素の一つがファンコニ貧血責任遺伝子産物(FAタンパク質)の一つと協調し、内因性のDNA損傷の発生を未然に防いでいる新たな可能性を見出した。また本研究期間内に行われたFAタンパク質と脂質代謝における解析において、FAタンパク質の当初予想していなかった新規の細胞内動態変化を見出すに至った。これらの知見はファンコニ貧血のみならず種々の疾患・病態発症機序の解明に寄与することが期待される。
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