研究課題/領域番号 |
17K07300
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
奥脇 暢 北里大学, 薬学部, 教授 (50322699)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | リンカーヒストン / ヒストンシャペロン / 遺伝子発現 / インターフェロン / クロマチン |
研究実績の概要 |
本研究の目的はクロマチン制御因子NPM1の遺伝子発現制御機構を明らかにすることである。これまでの解析から、NPM1はリンカーヒストン様因子と相互作用することを明らかにし、リンカーヒストン様因子のDNA結合領域の決定に影響を与える可能性が示唆された。リンカーヒストン様因子はHeLa細胞においてこれまで報告されているリンカーヒストンとは異なる染色体結合パターンを示し、特に特定の遺伝子の転写開始点近傍に集積していた。これらの遺伝子はHeLa細胞ではほとんど発現していない遺伝子であることから、これらの遺伝子の発現抑制に重要な役割を担っていることが想定された。そこで、リンカーヒストン様因子のノックダウン細胞を用いて遺伝子発現解析を行ったところ、その標的遺伝子の発現の上昇が観察された。現在、リンカーヒストン様因子がどのように遺伝子発現を抑制するのか、どのように特定の染色体領域にのみ結合するのか、リンカーヒストンシャペロンとの機能的な相互作用を明らかにすべく、研究を進めている。また、これまでの研究から、NPM1は転写因子のシャペロン様の機能を介して、インターフェロン応答性の遺伝子発現に関わることを明らかにしてきた。今年度はI型インターフェロン、II型インターフェロン応答性遺伝子の発現におけるNPM1の役割を検討した。引き続き、NPM1によるインターフェロン応答性遺伝子の発現制御機構を明らかにすべく研究を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年度は筑波大学より北里大学に異動し、研究室のセットアップや、新たな講義の準備等で研究の進展がやや遅れた。機器の設置や新たに研究室に配属された学生の指導を進め、研究を進められる体制の構築を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
リンカーヒストン様因子の解析においては、これまで用いてきたノックダウン細胞では、コントロール細胞と明確な差を見るのが難しい場合が多いため、ゲノム編集技術を用いてノックアウト細胞の作製を進めている。遺伝子ノックアウト用のベクターの構築は終了しており、ノックアウト細胞の選別を進めている。今後、ノックアウト細胞を用いて、リンカーヒストン様因子の標的遺伝子を同定していきたい。また、リンカーヒストン様因子の相互作用因子の網羅的な同定を進め、リンカーヒストン様因子がどのように標的遺伝子の抑制に関わるのか、その分子機構を明らかにしていく予定である。また、インターフェロン応答性遺伝子発現ににおけるNPM1の役割に関しては、NPM1がどのようなインターフェロン応答性遺伝子を調節するのかを明らかにする。また、インターフェロン応答性遺伝子発現における主要な転写因子であるSTAT1やIRF1の機能制御にNPM1がどのようにかかわるのかを明らかにすべく研究を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は、研究費はすべて物品費として消耗品の購入に利用した。研究の進展がやや遅れたため、必要な試薬の一部は次年度に購入することとした。したがって、次年度使用額が生じた。
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