研究課題/領域番号 |
17K07301
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
若松 馨 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (40222426)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | スピノフィリン / α2Aアドレナリンレセプター / 細胞内第三ループ / NMR / HSQC / titration / 複合体形成 |
研究実績の概要 |
全長400残基のスピノフィリン(SPL)のうち71残基のfragmentが(以下SPL-f71),α2Aアドレナリンレセプター(α2A-AR)の細胞内第三ループの19残基のfragment(α2A-AR-f19)と結合することを見いだしていたので,その2つのfragment間の相互作用をNMRで解析する事を試み,以下の知見を得た. (1) 15NラベルしたSPL-f71のHSQCスペクトルのα2A-AR-f19 titrationと温度変化測定により,SPL-f71のうち20残基がα2A-AR-f19と相互作用していることが,強く示唆された. (2) SPL-f71の主鎖の構造はα2A-AR-f19との結合により大きくは変化しないことが示唆された. (3) SPL-f71とα2A-AR-f19との結合は1:1ではない可能性が示唆された. (4) SPL-f71とα2A-AR-f19とは凝集体を形成しやすいが,choline-O-sulfateの添加である程度抑制されることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SPL-f71とα2A-AR-f19との複合体の構造をNMRで決定するためには両方のfragmentの安定同位体ラベルが必要である.しかし,GSTとの融合タンパク質として発現させたα2A-AR-f19は,様々な培養条件の検討にもかかわらず,収率を上げることができなかった.そこで,発現を諦め,α2A-AR-f19は化学合成品の使用に切り替えた.発現条件の検討で時間がかかったのが,遅れの1つの原因である. また,SPL-f71とα2A-AR-f19とを混合すると凝集体ができた.この凝集体ができにくい条件を探すのに時間がかかったのが,遅れのもう1つの原因である.
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今後の研究の推進方策 |
α2A-AR-f19は塩基性アミノ酸残基が多いので大腸菌にストレスを与え,発現効率が低いと考えられる.そこで,大腸菌にストレスを与えにくい発現系へ変更して,調製する予定である. SPL-f71とα2A-AR-f19との混合時に生じる凝集体はcholine-O-sulfateの添加である程度防止できるが,完全には防止できていない.申請者の研究室では新規の凝集防止剤を合成しているので,それらも利用して凝集を防止する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
安定同位体試薬の購入を急ぐ必要がなくなったので,繰り越すことにした.次年度の予算に繰越金を合わせて,安定同位体試薬を購入し,ラベルサンプルを調製する予定である.
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