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2017 年度 実施状況報告書

修飾ヌクレオソームの質量分析による構造生物学

研究課題

研究課題/領域番号 17K07313
研究機関横浜市立大学

研究代表者

明石 知子  横浜市立大学, 生命医科学研究科, 准教授 (10280728)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード蛋白質 / 生体分子 / 質量分析
研究実績の概要

ヌクレオソームコア(NCP)の構造はヒストンやDNAの修飾、すなわちエピジェネティックな修飾が転写開始のシグナルと理解されているものの、修飾が施されたNCPの構造解析例は少ない。そこで、結晶構造解析では得られない情報をネイティブな状態で質量分析により獲得すること、および気相におけるフレキシブルな領域の振る舞いを解析することを目的として以下のような実験を行い成果が得られた。
(1) 大腸菌発現系でDNAメチル化酵素 M.SssI を調製した。この酵素を用いて601配列を有するDNAオリゴマーをメチル化した。一方、大腸菌発現系で4種類のヒトヒストンタンパク質H2A、H2B、H3、H4を調製し、これらを用いてヒストン八量体を再構成した。メチル化されたDNAとヒストン八量体でヌクレオソームコア(NCP)を再構成し、電気泳動で精製後、ネイティブな条件での質量分析を行った。メチル化DNAを構成要素とするNCPのマススペクトルの測定により、インタクトな状態を質量分析で観測することに世界で初めて成功した。(2) 2つの601配列DNAを20塩基のリンカーDNAでつなぎ、さらに両端に20塩基のリンカー領域を有する約360塩基対のDNAオリゴマーを調製した後、これを用いてdi-NCPを作製した。ネイティブな状態で質量分析することにより、目的通りのdi-NCPが得られたことを確認した。(3) di-NCPの大量調製に必要なDNAオリゴマーの配列を複数含むプラスミドの調製に着手した。(4) di-NCPに対してヒストンアセチル化酵素p300によるアセチル化を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

メチル化DNAで構成されたNCPのマススペクトルの測定に世界で初めて成功した。
di-NCPを調製し、ヒストンアセチル化酵素p300HATドメインによるアセチル化の条件検討に着手した。

今後の研究の推進方策

アセチル化を施した後に再構成したdi-NCPと、再構成した後にアセチル化したdi-NCPの構造特性の違いを解析する。
メチル化したDNAからdi-NCPの調製を試みる。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由:物品費の購入を予定より低額に抑えられたため。機器の補修が必要なかったため。
使用計画:質量分析装置関連のメンテナンスと消耗品の購入を計画する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Crystal structure of the overlapping dinucleosome composed of hexasome and octasome.2017

    • 著者名/発表者名
      Kato, D., Osakabe, A., Arimura, Y., Mizukami, Y., Horikoshi, N., Saikusa, K., Akashi, S., Nishimura, Y., Park, S.-Y., Nogami, J., Maehara, K., Ohkawa, Y., Matsumoto, A., Kono, H., Inoue, R., Sugiyama, M., Kurumizaka, H.
    • 雑誌名

      Science

      巻: 356 ページ: 205-208

    • DOI

      10.1126/science.aak9867

    • 査読あり
  • [学会発表] ネイティブ質量分析 -ヌクレオソームから生命現象をつかさどる金属の解析まで-2018

    • 著者名/発表者名
      明石知子
    • 学会等名
      日本化学会第98春季年会
  • [学会発表] 不揮発性緩衝液で調製したタンパク質複合体のNative質量分析2017

    • 著者名/発表者名
      七種和美、加藤大貴、長土居有隆、胡桃坂仁志、明石知子
    • 学会等名
      第65回質量分析総合討論会
  • [学会発表] ヌクレオソームコア粒子のESI-MSにおける電荷分布の解析2017

    • 著者名/発表者名
      前川怜奈、大橋和音、長土居有隆、明石知子
    • 学会等名
      第65回質量分析総合討論会
  • [学会発表] 再構成したヌクレオソームのネイティブ質量分析2017

    • 著者名/発表者名
      明石知子
    • 学会等名
      第17回日本蛋白質科学会年会
  • [学会発表] Structural and biochemical analysis of overlapping dinucleosome containing histone variants and histone modifications2017

    • 著者名/発表者名
      Wataru Kobayashi, Maya Aihara, Daiki Kato, Masako Koyama, Kazumi Saikusa, Satoko Akashi, Rintaro Inoue, Masaaki Sugiyama, Hitoshi Kurumizaka
    • 学会等名
      EMBO Conference “The Nucleosome: From Atoms to Genomes”
    • 国際学会
  • [学会発表] ネイティブな状態を捕える質量分析の構造生物学での展開2017

    • 著者名/発表者名
      明石知子
    • 学会等名
      2017年度生命科学系合同年次大会

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公開日: 2018-12-17  

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