研究課題/領域番号 |
17K07316
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
横山 英志 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 准教授 (70433208)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | キネシン / モータータンパク質 / 等温滴定型カロリメトリー / 結晶化 / 構造解析 |
研究実績の概要 |
本研究では、X線結晶構造解析と熱分析(等温滴定型カロリメトリー)を主な手法として、細胞分裂期特異的なキネシンモータータンパク質であるCENP-EやEg5とそれらの阻害剤との複合体構造を決定し、それら阻害剤による結合と阻害の様式を解明することで、新規な抗がん剤を設計する構造基盤を得ることを目的とした。既存のタキサン、ビンカアルカロイドなどの微小管阻害剤と異なり、キネシンモーターの阻害剤は非分裂期の微小管には作用しないため、副作用の少ない抗がん剤のリード化合物として期待できる。 2年目となる平成30年度には、Eg5モータードメインとS-trityl-L-cysteine (STLC) 型阻害剤との複合体のX線結晶項解析の結果と、等温滴定型カロリメトリー(isothermal titration colorimetry、iTC200)による熱分析による結果を合わせて、それらの結合様式の違いを明らかにしたので論文発表した(Yokoyama et al. ACS Omega 2018)。 また、ヒトCENP-Eのモータードメイン(C末にHis tagを付与)について、大腸菌での発現と精製(His tagを利用したNi affinity精製、イオン交換カラムクロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー)を常時低温で行うことにより調製し、ATPアナログや阻害剤との複合体の結晶化を行った。ATPアナログとの複合体の結晶を用いて放射光施設(つくば高エネルギー加速器研究機構)にてX線回折強度データを収集した。現在、分子置換法による構造解析を進めているところである。決定する構造をもとにATPアナログ結合様式について論文投稿を進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 当初の予定どおりEg5モータードメインとSTLC型阻害剤との複合体の構造解析と熱分析の結果について論文発表を行うことができた。 2. CENP-EモータードメインとATPアナログとの複合体の構造解析を進めており、構造が決定できれば論文発表を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
CENP-EモータードメインとATPアナログとの複合体の構造解析を現在進行中であり、まもなく構造解析を完了する予定である。さらにCENP-Eモータードメインとその阻害剤(数種)との複合体について、結晶と構造解析を行い、各種阻害剤の結合様式を解明する。CENP-Eモータードメインと阻害剤との複合体構造はこれまで未解明であり、構造決定により新たな抗がん剤開発の構造基盤が得られると考えられる。 またCENP-Eとこれらの阻害剤との熱分析を行うことで複合体のX線結晶項解析だけでは得られない情報を得る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当該年度での消耗品などの購入が当初予定よりわずかに少なかったが、予定の実験を進めることができた。引き続き次年度にも消耗品などに使用する予定である。
|